◇ EUの新基準では、
GDPの算出項目に
売春と麻薬取引による利益を
加えるよう求めている。
また、英国の統計当局は昨年、
麻薬取引と売春を加えた場合
GDPが約1%押し上げられ、
その他の基準変更も実施すれば
GDPの規模が4~5%増えるとの
推定を公表した。
◇ 一方、フランス統計当局は、
違法な麻薬取引や売春は、
必ずしも双方の合意に
基づいていないとして、
いずれもGDPの算出項目に
含めないと表明している。
EU加盟国内でも、
麻薬・売春取引のGDP統計上での
取り扱い方はさまざまである。
◇ 欧州ではオランダのほか、
オーストリア、フィンランド、ノルウェー
などがすでに地下経済を加算しており、
フィンランドとスウェーデンで
4~5%
オランダ、オーストリアで
3~4%
の押し上げ効果があるという。
◇ イタリアは、麻薬取引や売春、
酒類やタバコの密輸などを、
2015年からGDP統計に加算する
方針を発表し、物議を醸した。
欧州連合(EU)当局がこれを認めれば、
財政赤字のGDP比率が低下する。
これは財政赤字を対GDP比3.0%以内に
抑えるというEU基準の達成を目指す
国にとって大きな助けとなる。
◇ GDP統計は国の経済活動を
測定する上での一種の決め事であり、
本来的にはいかようにも
定義・ルールを定めることができる。
非合法の経済活動(地下経済)の
規模を推計して加算するのが
いけないというわけではない。
◇ 日本では可能性はきわめて小さいが、
カナダのように嗜好性大麻を
将来合法化した場合、
内閣府は、少なくとも関連する
合法的な経済活動をGDP統計に
新たに計上するはずであり、
日本のGDPはその分、
大きくなる可能性が高い。
だが、非合法の経済活動まで
GDPに計上するかどうかという問題では、
道徳・倫理や社会における法規範の
安定性も少なからず意識されるはずである。
◇ 経済統計の正確性を
どこまでも追求する姿勢に
拘泥しすぎることなく、
国民各層を交えた議論を
きちんと踏まえた上で
結論を出していくべきだろう。
令和という新しい時代となり、
「大麻」関する考え方も
世界的に変わりつつある。
日本もそろそろ考え方を変えていかないと
孤立化は避けられない。
完
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