◇ 年金と雇用というのは基本的に
セットで考えなくてはならない。
雇用は打ち切られたが、
年金はもらえない「無年金期間」を
生じさせてはならない。
このため、今までは公的年金改正に伴う
受給開始年齢の引き上げが実行されれば、
雇用の上限年齢(定年や継続雇用年齢)も
引き上げられてきた。
直近では、65歳までの雇用が確保されたが、
公的年金の受給開始年齢が
完全に65歳まで引き上げられる時期と
タイミングをそろえる政策的意図があった。
◇人によってはこれを
「年金受給開始年齢」と「雇用の年齢」との
追いかけっこと評したり、
いつまでも続くいたちごっこと
揶揄(やゆ)したりしている。
ところが今、
日本ではこの追いかけっこに
終止符が打たれようとしている。
これは未来の年金問題と
私たちの働き方を考えるとき、
重要なポイントになる。
◇ 日本は人口減少に伴い、
労働力が不足していくと
懸念されている。
生産年齢人口つまり、
15歳以上65歳未満の人口は
1995年には 8726万人 もいたが、
2015年の国勢調査では
7728万人 となっている。
減少の理由の多くは、
団塊世代の引退と若い世代の人口減少である。
日本はこれから、毎年50万人以上の
「働ける人口」が減っていく
社会になると予測されている。
これを国力が縮小するように
悲観的にとらえている人が多いのだが、
実は悪い話ばかりではない。
◇ 働く意欲のある女性や65歳以上の
高齢者には大きなチャンスが
訪れるともいえるからだ。
実は労働力人口で見ると、
女性や65歳以降の高齢者の
働き手が増えていることもあり、
それほど大きく減少していない。
正社員の数を反映する
厚生年金被保険者数は
むしろ増え続けている。
女性の就業率はこの20年右肩上がりで
上昇を続けているし、
65歳以上の高齢者の就業率は
先進国では群を抜いて
高い数値を示している。
◇ 特に意味があるのは、
正社員としての雇用のチャンス拡大だ。
これまでは低賃金かつ厚生年金の適用も
なかった非正規雇用の人たちが
正社員として働くチャンスが増え始めている。
正社員の有効求人倍率がすでに
1.0倍を超えているのがその証拠だ。
働き方改革も追い風になる。
正社員でありながら短時間勤務や
週3~4日勤務のような多様な働き方が
認められるようになり、
複数の企業に所属する「複業」も
広がっていくことだろう。
◇ 実は65歳以降の雇用に
積極的な企業も増えている。
厚生労働省の17年
「高年齢者の雇用状況」によると、
すでに22.6%の企業が
70歳以上でも働けるそうだ。
驚くかもしれないが、
中小企業を中心に企業サイドの意識は
大きく変わり始めているのである。
つづく
今日一日の人生を大切に!
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