◇ それでは、MaaS によって
自動車産業や公共交通に訪れる
「破壊と創造」はどんなものか。
まず、公共交通事業者は、
マイカーに奪われていた客を
取り戻すチャンスだ。
欧州では、既にスイス鉄道や
ドイツ鉄道が MaaS の展開を始めている。
公共交通は「サービスとしてのモビリティ」
の元祖といえるが、
MaaS は公共交通事業者にとっては
サービス領域を広げるチャンスと
捉えられている。
国内でいち早くMaaS への参戦を
表明しているのも、
東日本旅客鉄道(JR東日本)や小田急電鉄、
東京急行電鉄などの鉄道事業者だ。
◇ 一方、自動車業界で MaaS に
いち早く参戦したのは ダイムラー だ。
ダイムラーは鉄道以外の
あらゆる交通サービスを傘下に収め、
それを「moovel(ムーベル)」という
アプリでワンストップに提供している。
ドイツ鉄道とダイムラーは、
ドイツ国内で MaaS の主導権争いを巡って、
しのぎを削っているように見える。
◇ マイカー利用を半減させる MaaS は、
自動車業界にとっては
“敵” に見えるかもしれないが、
ダイムラーのように積極的に
サービス領域を取りにいくことで、
新たなチャンスが開ける。
MaaSは、確かにマイカーの
販売台数は減らすかもしれない。
だが、その分、配車サービスなどに
使用するサービスカーの需要は増えるし、
1台当たりの稼働率も高める。
それは整備需要の増加を意味するのだ。
◇また、OTA(Over the Air)による
車載システムのバージョンアップや
IoTを生かしたクルマの状態監視が
広がっていくことで、
クルマはネットワーク端末化する。
スマホがさまざまなサービスの
土台となったように、
移動空間であるクルマは
スマホ以上に多様なサービスを生み出す
“ふ化装置” となる可能性がある。
生活者とのリアルな接点を持つ
自動車ディーラー網との
強いつながりを生かしながら、
移動以外のサービス提供を含めて
どれだけ自社の付加価値として
取り込めるかが、
自動車産業が MaaS 時代を
生き残れるかどうかのカギとなるだろう。
つづく
今日一日の人生を大切に!
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