博多商人・島井宗室の処世術      vol.437

 

◇ 職場でもどこでもそうだが

    絶対権力者のいる環境で、

 

正しいことを直言し、

かつ身を保つことは難しい。

 

とくに戦国末期、

町人は天下人の機嫌を損ねれば命はなかった。

 

◇ 秀吉の命で、千利休は切腹。

 

※千利休の死に様は

「利休にたずねよ」山本兼を閲読のこと。

 

同じく堺の山上宗二(やまのうえそうじ)は

茶の湯の上手で物知りであったが      

 

「秀吉公にさへ、御耳にあたる事申して」 

 

その罪に耳鼻そがれて殺害された。

 

◇ しかし、その秀吉に

   堂々と朝鮮出兵を説き、

 

 逆鱗に触れながら、やりすごし、

ついに生命と財産を保った男もいる。

 

博多商人・島井宗室である。
             (博多三傑の一人)

 

◇ 島井は死に臨んで、

      自分の処世術のすべてを

    十七か条の「遺言状」に書き残し、

 後継者に伝えている。

 

 その第一条の一節。

 

口がましく、言葉おおき人は、

人のきらう事候。

我ためにもならぬ物に候。

 

島井は来世への信仰が絶対であった当時、

なんと宗教との決別さえ語る。

 

50歳までは「後生ねがひ候事無用」

 

今をきちんと生きる分別が大切といった。

 

そして最後の条文のこう書く。

 

夫婦中(なか)いかにも能(よく)候て、

両人おもいあい候て、

 

同前所帯をなげき、商売に心がけ、

つましく油断なきように。

 

二人いさかい中悪(わるく)候てハ、

何たる事にも情ハ入(いる)まじく候

 

◇ つまり、夫婦仲が悪いと、

     ストレスがたまって何事にも

     身が入らないという。

 

仕事の成果が上がらない人は、

もしかしたらその原因は、

ここにあるのかもしれない。

 

<今日の名言>

「あら楽し 思いは晴るる 身は捨つる 

              浮世の月に かかる雲なし」

               大石内蔵助の辞世の歌

 

*もしダメなら、このくらい晴れ晴れとした
   気持ちできれいに散りたいものだ。

 

今日一日の人生を大切に!

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