◇ 4歳のときに
僕の中にもうひとりの僕が生まれた。
それ以来、
いつも彼が見ている。
僕のやることなすことを。
そのせいだろう。
僕は好きなことしかやらなくなった。
だって見ているから。
もうひとりの僕が。
彼にかっこわるいところは見せられない。
ラクビーも好きで選んだ。
だから死にものぐるいでやってこれた。
試合でも、もうひとりの僕が教えてくれた。
チャンスの中のピンチを。
ピンチの中のチャンスを。
攻めてせめて、攻めているとき、
もうひとりの僕は突然敵の陣地から
こっちを見てつぶやく。
「ここを耐えればやっつけられるな」
で気づく。
「油断するとやれてしまうぞ」
もうひとりの僕が何度勝ちを
もたらしてくれてたか。
迷ったとき、もうひとりの僕はささやく。
「計算するな ! 目の前の挑戦を楽しめ」
そのとおり。
先が見えていたら人生なんて退屈さ。
死ぬまで、トライの連続だ。
平尾誠二(前神戸製鋼ラクビー部
ゼネラルマネージャー)
◇ 平尾誠二氏は、2016年10月20日
息を引き取った。
享年53歳であった。
トンビは一度新幹線の中で
お見かけしたことがある。
ほんとに かっこよかった!
いまでも、彼がグランドを駆け抜ける姿が
目に焼き付いている。
いまわのきわの最期の言葉は
「頑張る!」
であった。
彼は死ぬことによって、
もうひとりの僕とひとつになったのだ。
<今日の名言>
「志士は溝がく(こうがく)に在るを忘れず」
吉田松陰
*改革に奔走する志士たちに対して、
吉田松陰は「志を遂げるためには、
たとえ自らの屍(しかばね)を溝や谷に
さらそうとも構わないという気持ちで
国事に臨まなくてはならない。
そういう覚悟が必要という意味です。
昔の偉人たちには頭が下がります。
命をかけて取り組むことができるものを
みなさんはお持ちですか?
死ぬまでトライの連続です。
今日一日の人生を大切に!
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