◇ 米国は、中国と異なって
一貫して生産年齢人口は増加し続ける。
この差は大きい !
中国を「日没する経済」と呼べば、
米国は「日没しない経済」と言える。
米中経済逆転が定着することは
あり得ないのである。
経済成長の構成要素は、
労働と資本に加え、
捉えどころの難しい
「全要素生産性(TFP)」がある。
TFPとは、資本や労働といった
量的な生産要素の増加以外の
質的な成長要因のこと。
技術進歩や生産の効率化などがこれだ。
世界銀行が2020年6月、
中国の生産性の潜在力に関し
公表した文書によれば、
TFP成長率は全般的に
大幅に減速している。
世界金融危機(2008年)以前の
10年間の年率は2.8%だったが、
2009~2018年は0.7%に鈍化した。
4分の1に低下したのだ。
驚くべき事実である。
◇ なぜ、TFP成長率が
これだけ低下したか。
国有企業とインフラ投資の
非効率性が、
中国経済の足を引っ張っていることは
疑いない事実だ。
高速鉄道を中国全土に張り巡らしているが、
これは非効率の代名詞である。
高速鉄道は、人口密度の低い地帯へ
建設しても無駄な投資になる。
中国政府は毎年、
GDPの成長率目標値を発表している。
地方政府はこれに引っ張られて、
無駄なインフラ投資を続けているのだ。
国有企業は、不採算部門でも
メスが入らず赤字を垂れ流している。
計画経済の最も悪い面が、
現在の中国経済を蝕んでいる。
習氏は、共産党元老の子弟(紅二代)の
支持取り付けのために、
国有企業整理に手が出ないのだ。
結局、中国経済は、
「自然淘汰」される運命を
辿っているとしか言いようがない。
◇ TFP成長率に
大きな影響を与えるのは、
経営者によるイノベーションへの
意欲である。
最近の中国は、この創意工夫が
萎縮させられている。
アリババの系列企業アントを支配する
馬雲(ジャック・マー)氏は、
当局からけん制されていると
報じられている。
一時、約2ヶ月間も公の場所に
姿を見せないなど、
行方が話題になった。
これが、経営者マインドを
萎縮させることは明らかである。
中国は、統制経済と経営者マインドの
両立の難しさを示している。
中国経済の浅い底が見えている。
米国経済は、世界の人材が
自然に集まる魅力を備えている。
中国は、当局の意向と合わねば
「身を隠す」ほどの圧力がかかる社会だ。
この差が、生産性を大きく左右しても
不思議はない。
このように中国経済は
前途多難ではあるが、
いやいや、
それ以上にお先真っ暗なのが、
日本であることをお忘れなく。
完
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