二大リスクに直面する中国経済は前途多難 ⑤   vol.959

米国は、中国と異なって

 一貫して生産年齢人口は増加し続ける。

 

      この差は大きい !

 

中国を「日没する経済」と呼べば、

米国は「日没しない経済」と言える。

 

米中経済逆転が定着することは

あり得ないのである。

 

経済成長の構成要素は、

労働と資本に加え、

 

捉えどころの難しい

「全要素生産性(TFP)」がある。

 

TFPとは、資本や労働といった

量的な生産要素の増加以外の

質的な成長要因のこと。

 

技術進歩や生産の効率化などがこれだ。

 

世界銀行が20206月、

中国の生産性の潜在力に関し

公表した文書によれば、

 

TFP成長率は全般的に

大幅に減速している。

 

世界金融危機(2008年)以前の

10年間の年率は2.8%だったが、

20092018年は0.7%に鈍化した。

 

4分の1に低下したのだ。

 

驚くべき事実である。

 

なぜ、TFP成長率が

    これだけ低下したか。

 

 国有企業とインフラ投資の

   非効率性が、

 

 中国経済の足を引っ張っていることは

 疑いない事実だ。

 

高速鉄道を中国全土に張り巡らしているが、

これは非効率の代名詞である。

 

高速鉄道は、人口密度の低い地帯へ

建設しても無駄な投資になる。

 

中国政府は毎年、

GDPの成長率目標値を発表している。

 

地方政府はこれに引っ張られて、

無駄なインフラ投資を続けているのだ。

 

国有企業は、不採算部門でも

メスが入らず赤字を垂れ流している。

 

計画経済の最も悪い面が、

現在の中国経済を蝕んでいる。

 

習氏は、共産党元老の子弟(紅二代)の

支持取り付けのために、

国有企業整理に手が出ないのだ。

 

結局、中国経済は、

「自然淘汰」される運命を

辿っているとしか言いようがない。

 

TFP成長率に

 大きな影響を与えるのは、

 

 経営者によるイノベーションへの

   意欲である。

 

最近の中国は、この創意工夫が

萎縮させられている。

 

アリババの系列企業アントを支配する

馬雲(ジャック・マー)氏は、

 

当局からけん制されていると

報じられている。

 

一時、約2ヶ月間も公の場所に

姿を見せないなど、

行方が話題になった。

 

これが、経営者マインドを

萎縮させることは明らかである。

 

中国は、統制経済と経営者マインドの

両立の難しさを示している。

 

中国経済の浅い底が見えている。

 

米国経済は、世界の人材が

自然に集まる魅力を備えている。

 

中国は、当局の意向と合わねば

「身を隠す」ほどの圧力がかかる社会だ。

 

この差が、生産性を大きく左右しても

不思議はない。

 

このように中国経済は

前途多難ではあるが、

 

いやいや、

それ以上にお先真っ暗なのが、

日本であることをお忘れなく。

           完

 

 

今日一日の人生を大切に!

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください