御巣鷹の遺書 vol.826

当時40歳の谷口さんも乗っていた。

 「まち子 子供よろしく」 

     大坂みのう 谷口正勝

 

 

29歳の父親は2歳の長男に宛てて書いた。

「しっかり生きろ

    哲也 立派になれ」

 

52歳の夫は妻に書き残した。

「子供たちの事を

 よろしく頼む。

 本当に今までは

 幸せな人生だった」

 

いくつかのメモを

日本航空「安全啓発センター」で

見たことがある。

 

乱れた筆跡が忘れられない。

 

5年前の1985年8月12日、

 

機体が制御不能になってから、

御巣鷹山の尾根に墜落するまでの

32分間に書かれた遺書である。

 

備え付けの紙袋に書かれた遺書は

  画数の多い文字を避けた

 仮名書きと乱れた筆跡に、

 

命の残り時間に追われる

人の息づかいが聞き取れる。

 

「2人の息子に食べさせたい」と、

      谷口正勝さんは自宅の庭に

      柿の木を植えていた。

 

事故の2ヶ月後、

初めて実をつけたという。

 

妻の真知子さんが

    都内の小学校に招かれ、

 

1年生の児童に

命の大切さについて語ったと、

新聞が報じていた。

 

「みんなも家族に怒られると、

 「うるさい」って思うよね。

   でも、そういう何気ない日常が

   どんなにありがたくて特別か、

   考えてみてほしいの」

 

柿の木の話しも交えた語りかけに、

児童は一心に聴き入っていたという。

 

空のある限り慟哭(どうこく)

御巣鷹忌    吉田銀葉

 

あれから35年がすぎた。

 

 あの惨事を知らない

 幼い子供たちの胸にも

 届いたにちがいない。

 

 

今日一日の人生を大切に!

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