◇ 実はパンは、
学生時代に日本に滞在したことがある。
日本人の働き方について意見を求めると、
「自分は日本の職場の
専門家とはいえないけれども」
と前置きをしてから、こう答えた。
「日本人は、仕事を人生にとって
大事なものと考えています。
それは大変すばらしいことです。
ただ、日本の職場にプレゼンティズム
(出勤しても生産性が低い状態)
の問題があるのは明らかです。
長時間労働至上主義が問題です。
従業員を長く働かせる管理職が、
従業員の力を最大限発揮させていると
勘違いしている会社が多いのです。
これは生産性を伸ばしません。
短期間であれば、長時間労働を
維持することも可能ですが、
数週間それを続けると、ミスが出たり、
創造性がなくなったりします。
生産性が下がってしまうのです」
◇ 米国の企業のなかには、
休息の重要性に気づき、
「ウォーキング会議」を採り入れたり、
長期休暇制度を提供したりする
ところも出てきている。
なかには有給休暇をとらなかった従業員に
ペナルティを課す企業もあるという。
職場で長時間過ごすという方法でしか、
自分の価値を示せないからなのだと思われる。
でも、職場に12時間いることなら
誰にでもできる。
優秀な人だけが、職場にいる時間を
6時間におさえられるのだ。
◇ 「休息」というと、怠け者がソファーに座って
テレビをダラダラと見ながら時間を過ごす
イメージが頭に思い浮かぶかもしれない。
だが、天才たちが実践していた
「休息法」はそんなものではない。
「20kmの散歩」や「危険な登山」など、
思いのほか活動的なのだ。
具体的にはどうすればいいのか。
『シリコンバレー式 よい休息』から、
6つの重要な「休息」のテクニックを紹介する。
1.「早朝」から創造的な仕事に
取り組むことを日課にする
2.「歩く」ことで最善の考えに到達する
3.「昼寝」によって1日を2日に分ける
4. 仕事を切りのいいところで
終わらそうとしないで「中断」する
5.「運動」をして、クリエイティブな
仕事に必要な体力を養う
6.「ディープ・プレイ(深い遊び)」
に没頭する
◇ 世界屈指の神経学者である
クリストフ・コッホは、趣味の登山に
ついてこう語っている。
崖っぷちでロープの端を握っていると、
世界に対する意識が研ぎ澄まされる。
それは一種の瞑想だ。
なぜなら、この世界、この環境と一体となり、
岩のささいな歪みにも注意を
払わなければならないからだ。
その時、いつも頭のなかで
私を批判している内なる声は、
完全に黙り込む。
◇ 普段の仕事を完全に忘れるくらい
没頭できる趣味や活動は、
「ディープ・プレイ(深い遊び)」
といえる。
それは単なる気晴らしのゲームとは異なり、
人生に役立つスキルや自分の本質を教えてくれる。
優秀な研究者やエンジニアには、
登山やセーリング、楽器演奏、絵画制作などの
ディープ・プレイに情熱を傾ける人が少なくない。
逆に、業績のよくない研究者は、
「趣味を持たないか、
仕事にとって重要でないとみなしている」
という研究結果もある。
◇ 2回に渡ってお伝えしたが、
すでにみなさんはお解りだと思う。
より良い仕事や研究をするためには、
「休息」 は欠かせない。
そしてその「休息」の中身が問題なのだ。
よい休息とは体を休めることではなく、
「体を動かすこと」
仕事は中断して、とっとと家に帰り、
好きな活動を行う習慣を身につければ、
新しいアイデアが必ず生まれてくる。
ぜひみなさんも明日から実践してほしい。
完
今日一日の人生を大切に!
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