◇ 城山三郎の遺稿集は題名を
「そうか、もう君はいないのか」という。
喪失感は時間をおいて訪れる。
葬儀を終えて遺品を整理し、
日常生活に戻りかけたとき、
「そうか、もう君は・・・・」
と思い知る。
伴侶を亡くした経験をもつ人は
うなずかれるにちがいない。
掃除機のコードをひっぱり出す途中にて
むなしくなりぬああ生きて何せむ
小池光氏の歌集「思川の岸辺」
◇ 夫人をがんで亡くして5年が過ぎ、
「前に進まねば」の
心から編んだ歌集であると、
あとがきにあった。
巻末近くに置かれた歌がある。
うみあとのかすかになりし
いつぽんの道つづきゐてわれはゆくべし
◇「いっぽんの道」で思い出した。
あかあかと一本の道とほりたり
たまきはる我が命なりけり
斎藤茂吉
「魂極(たまきわる)」(命の枕詞)
短歌の道を歩む覚悟をさだめた
一首である。
今日一日の人生を大切に!
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