死ぬまで働く「無定年」時代の到来 ③     vol.971

厚生労働省はこれまで

    マクロ経済スライドによる

  年金財政の調整は、

    43年ごろに終了できるとしていた。

 

その際、個人に渡す年金額の水準を、

 

「夫が40年間会社員で

  妻はその間専業主婦」

 

というケースを標準世帯として、

 

夫婦合計で現役の月額収入の

50 と算出した。

 

現役世代の月額収入に対する年金額は

所得代替率と呼ばれるが、

 

中田氏らの試算では、

積立金が枯渇する51年に

54.2%の所得代替率が、

 

52年には一気に

36.1% に急落するという。

 

こうした「未来」が見えるからこそ、

中田氏らは名目下限措置を外し、

 

マクロ経済スライドを適切に

実施する必要があると指摘する。

 

そうすれば所得代替率は

46.8%と許容範囲にとどまり、

公的年金の機能は維持されるという。

 

もし、

 これができなければどうなるか。

 

 単純計算で厚労省の見通しと

 比較すると約7割の水準になる。

 

厚労省の推計ではモデルケースで

標準世帯の1カ月受給額は、

24.4万円だから、

 

17万円 しか

受け取れなくなる計算になる。

 

今後も医療費や介護保険の

自己負担が増すのは確実。

 

健康寿命が延び、

「人生100年」といわれる中で、

 

貯蓄に手をつけにくくなるとすれば、

働き続ける必要性が増す。

 

とはいえ、

こんな事態が起きるのは

30年以上先のこと。

 

「まだ現実感を持って

   受け止めがたい」

 

という人もいるだろう。

 

ところが、

現実社会はもっと速いペースで、

「働き続ける」よう促している。

 

実は政府は昨年初め、

厚生年金の支給開始年齢を、

 

個人の選択で70歳超に先送りできる

制度の検討に着手している。

 

現在、厚生年金は段階的に

支給開始年齢が引き上げられており、

 

男性は25年度、

女性は30年度から65歳になる。

 

一方で現行制度では、

 シニア自身が6070歳の間で

 受給開始時期を選ぶことができるが、

 

これをさらに70歳超まで

延ばしていこうというものだ。

 

支給開始を70歳超に

延ばした受給者には、

 

支給額を従来より

上乗せすることも検討しており、

 

先送りのインセンティブに

するとみられる。

 

背景にあるのは

年金問題 と 人手不足 だ。

 

現役世代ともいえる

生産年齢人口(1564歳)は

96年以降減り続けている。

 

一方で、ここ5年は景気回復で

人手不足も続いている。

 

政府は年金財政を健全化するためにも、

「働くシニア」を増やそうと意気込む。

            つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

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