◇ 稲盛和夫氏は、
「人間とは弱いものである」
といっている。
人間は性根の弱い生き物であるという
「性弱説」という考え方だ。
人間というのは、
床に札束が落ちているのを見つけたら、
持っていってしまうくらい
「心が弱い」生き物なのだ。
あるいは、一万円札が
山ほど机の上に転がっていたら、
一枚くらいとってもわからないだろうと、
ポケットに入れてしまう生き物なのだ。
◇ では、その一万円札を
ポケットに入れた人がわるいのか?
「それは違う」と稲盛氏はいう。
もともと人間は「性弱」であり、
むしろ、
「一万円札が床に落ちていたり、
そこらじゅうに雑然とおいて
あったりすることに問題があって、
その点を深く反省すべきなのだ」
と稲盛氏は言っている。
◇ 人間は「性善」か「性悪」かといった
論争がしばしばあるが、
1990年代に入ってから「性弱説」
―-人の心の弱さが過ちをもたらす、
という考え方が登場した。
「性悪説」に基づいて
「魔がささないシステムをつくれ」
というのはさびしいものがあるが、
一万円札が何十枚も何百枚も
転がっていたら、
「一枚ぐらいとっても
わからないだろう」
と思うのが人間である
ということを前提にして、
「厳しく取り締まるシステムを
作らなければならない」
と稲盛氏はのたまう。
この「前提」が大事なのである。
◇ 企業内のコンプライアンス違反が
毎日のように発生している昨今、
違反者にばかりに罪を
押し付けるのではなく、
「人間性悪説」に基づいて
再考してみる必要がある。
稲盛氏に言わせれば、
「もし、企業内のシステムが
整わないところで違反者を
作ってしまったとしたら、
それは本人が悪いのではなく、
会社が悪い」
ということになる。
「人間性弱説」にのっとって、
コンプライアンス全般に関する
考え方・やり方を見直してほしい。
<今日の名言>
自分がなりたいと思うような人間に、
既になった気持ちで行動せよ、
間もなく必ずそうなる。
ジョージ・クレイン
*自分の夢がすでに実現したかのように、
振舞うことが究極の夢の実現方法
ということになります。
今日一日の人生を大切に!
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