◇ 今年に入ってから、
北関東周辺や東京湾、
さらに茨城沖などを中心とした
地震の発生が相次いでいる。
南海トラフ地震の発生ばかりに
注目が集まっていた昨今だが、
首都・東京の周辺で頻発する
地震が発生するたびに、
SNSなどには、
「首都直下型地震の発生が近いのでは?」
と不安視する声が少なくない。
◇ さて、地震の発生前に、
その「前兆」とも言える現象が起こる
という話をご存じだろうか。
それが「宏観異常現象」
(こうかんいじょうげんしょう)
と呼ばれている現象だ。
大きな地震の前触れとして発生、
または知覚され、
生物的、地質的、
物理的異常現象のことをいう。
◇ 例えば、
古くから言い伝えられているのが、
「水槽のナマズが騒ぐ」
「カラスの鳴き声がいつもより多い」
「ネズミが大移動する」
といったもの。
こうした動植物の異変と地震を
結びつける言い伝えや俗信は
日本全国にあり、
実際に研究をおこなっている
大学や研究機関も少なくない。
◇ 日本ではナマズと地震の関係が
古くから注目されている。
日本中で言い伝えられている
俗信や迷信などを集めた
『日本俗信辞典 動・植物編』を紐解くと、
「鯰(なまず)」の項に、
以下のような記述がある。
『安政見聞誌』の上巻に、
安政二年の江戸の大地震の際、
ナマズの騒ぐのを見て地震の来るを知り、
難をのがれた男の話が載っている。
◇ 一説に、ナマズは地震前の
地電流に敏感に反応し
騒ぐのではないかといわれる。
やはり江戸の時代から
「ナマズが騒ぐと地震が近い」
という俗信が信じられていたようだ。
◇ 江戸時代には大ナマズが
地下で暴れることで大地震を起こす
という民間信仰があり、
安政の地震以降にナマズが大暴れする
様子を描いた「鯰絵(なまずえ)」と
呼ばれる多色刷りの浮世絵が
多く残されている。
地震だけでなく、当時の世相を
皮肉ったものや、
幕府への不満なども込められているため
江戸幕府が禁止したという経緯も過去にある。
image by: 匿名Unknown author
/ Public domain( 江戸時代の「鯰絵」)
◇ 日本国内では今も昔も
「ナマズ」が地震前兆の
シンボルになっており、
先に出てきた『安政見聞誌』とは
(あんせいけんもんし)
国立公文書館のHPによると
以下のような解説が出ている。
文明開化の世相を描いた
『安愚楽鍋(あぐらなべ)』などの
著者として知られる仮名垣魯文が著した
(かながきろぶん)
安政江戸地震のルポルタージュ。
絵師は歌川国芳ほか。
(うたがわくによし)
新吉原で穴蔵に避難した
遊女が全員焼死した話や、
地震の前兆(鯰(なまず)の異変、
磁石が磁気を失ったこと)など、
災害時の心得や地震予知に関する
貴重な情報が記載されている。
江戸時代の安政3年に発生した地震にも、
当時の被害状況などを記録され、
出版されていたことに驚きを隠せない。
つづく
今日一日の人生を大切に!
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