長い歴史のオリンピックもそろそろ終焉 ①     vol.749

安倍晋三首相は3月末

  IOCのバッハ会長と電話会談し、

 

東京オリンピックを

 

おむね1年程度延期することを

 検討してもらいたいと」    と提案、

 

100%同意する」との返答を得た。

 

その後に安倍首相は記者会見し,

 

人類が新型コロナウイルス感染症に

 打ち勝った証しとして

 完全な形で東京大会を開催する」

 

と説明した。

 

この説明になんとなく

トンビは違和感を覚えた。

 

オリンピックの

   開催・延期・中止を判断し

 決定する権限を持つのはIOCであって、

 

彼らが通告または提案してきて

日本側がそれに同意するのが筋である。

 

しかも彼らがそれを言うべき相手は

組織委員会の森喜朗会長であって

安倍首相ではない。

 

組織委員会こそが、

日本五輪委と東京都とで作った

東京五輪の責任ある実施主体であって、

 

安倍首相はその顧問会議議長ではあるが、

森会長を差し置いてバッハ氏と

やりとりする立場にはないと思うのだが

 

バッハ氏が、

 「自分からそれを言い出すのを

 できるだけ避けているように見えた」

 理由について、

 

スポーツ社会学の

坂上康博氏、一橋大学教授は、

テレビ局やスポンサーに

大きな損害を与えてしまうこと、

 

IOCが開催地に負担を強いている

という印象を強めることを

恐れていたからだと指摘している。

 

IOC201316年の収入は

 57億ドル(約6,300億円)で、

 その7割強がテレビの放映権料。

 

かつてはそのまた7割以上を

米国のテレビ局が占めており、

 

彼らの意向で開催時期は

米国内のスポーツ競技の

閑散期に当たる夏で、

 

さらに人気のある競技は

米国のゴールデンタイムに

生中継できるよう、

 

ゲーム開始時間が組まれる

ということがまかり通っていた。

 

今では、米テレビ局のシェアは

それほどでもなく、

 

放映権料全体の中で

5割程度と見られているが、

 

それでもIOCとしては放映権料を

少しでも高く売るのに命懸けなため、

 

出来れば自分から延期や中止を口にして

テレビ局やスポンサー企業の機嫌を

損ねることはしたくない。

 

また開催地の経済負担の

  大きさという問題は、

 

すでに五輪そのものの存続に

関わるほどに深刻さを増している。

 

無理を重ねて誘致して

施設の整備や大会の準備に

莫大な費用を注ぎ込んでも、

大会後にはその国の経済全体が落ち込み、

 

せっかくの施設も市民スポーツの増進には

役立たずに廃墟化するなど、

マイナス面ばかりが目立つようになった。

 

そのため招致の手を挙げるのは

ロンドン、東京、パリなど

先進国の巨大都市ばかりになり、

 

他の都市で市長が動こうとすると

市民から反対運動が起きるような始末である。

 

つまり五輪そのものがもはや

  黄昏のビジネスとなりつつあって、

 

そこで今回「中止」となれば

破局は間違いない。

 

「延期」であっても恐らく

何千億円もの追加費用を投じて、

 

無理に無理を重ねて

強行しなければならないため、

 

それを見れば

ますます誘致希望者はいなくなっていく。

 

バッハ氏はたぶん、自分の方からは

「さらに何千億円かけてでも延期せよ」とは

言い出せなかったのだろう。

          つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください