米中が「トゥキディデスの罠」にはまった時の日本の対処方法 ① vol.587

 

トゥキディデスは

    古代ギリシャの歴史家。

 

ギリシャの都市国家だった

アテネとスパルタが、

 

戦ったペロポネソス戦争を

『戦史』としてまとめた。

 

これにちなんで、

覇権国とそれに挑む新興国が

折り合えないまま戦争に

至ってしまうことを

「トゥキディデスの罠」と呼ぶ。

 

◇ 米国と中国の貿易戦争が

     軍事衝突にまで至ると

     考えている人は、

    それほど多くないかもしれない。

 

だが、歴史をひもとくと

不穏な未来に行きつく可能性が

あることがわかる。

 

◇ 米ハーバード大学ベルファーセンターは

「トゥキディデスの罠」についての

  研究結果を公表している。

 

研究チームは15世紀の

ポルトガルとスペインの対立や

 

17世紀後半から18世紀半ばの

フランスと英国の対立など、

 

過去500年間で覇権を握る

勢力と新興勢力が

対立した16の事例を分析。

 

そのうち12のケースで戦争に至ったという。

 

つまり、75%の確率で

戦争に至ったということになる。

 

◇ 戦争に至った12のケースの中には、

    日本が清、ロシアと戦った日清・日露戦争や、

 

ドイツが英国に、日本が米国に挑んだ

2次世界大戦も含まれる。

 

一方、旧ソビエト連邦の崩壊で終わった

米ソ冷戦は、

 

戦争を回避できた4つのケースのうちの

一つとして紹介されている。

 

15世紀のポルトガルとスペインの対立は、

両国が世界を2つに分けて支配すると決め、

条約を取り交わしたことで戦争を避けた。

 

◇ 現状を維持したい既存の覇権国と、

    発言力を強めたい新興国が折り合うことが

    容易でないことは歴史が示している。

 

中国は歴史上、長く覇権国であっただけに、

事態はより複雑かもしれない。

 

ピーターソン国際経済研究所の

フレッド・バーグステン名誉所長は、

 

「中国がむしろこの数百年、

   少し調子が悪かっただけのこと。

  世界を制覇し、米国を配下に置こう

  と考えても、何ら不思議ではない」と語る。

 

◇ 実際、中国の習近平国家主席は

     2017年の共産党大会で

   「中華民族の偉大な復興」を掲げ、

 

今世紀の半ばまでに総合的な国力と

国際的な影響力で、

 

世界トップクラスになるとの

長期目標を打ち出した。

 

「以前のように覇権国の地位に戻るだけ」

との考えが中国側にあるとすれば、

 

現在の超大国の地位を維持しようとする

米国とのさらなる衝突は不可避だろう。

                                        つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

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