箸置きと日本文化      vol.586

 

◇ 向田邦子氏のエッセイ本

  「夜中の薔薇」に「箸置」

   題した文がある。

 

物書きの友人が、暮らしを楽しもうと

仕事を減らし始めたため、

理由を尋ねると、

 

「箸置きも置かずに、

  せかせかと食事をするのが嫌になった」

 

と言ったそうだ。

 

この件で、

「箸を休ませながら食事をすることが

      人間の暮らしだと悟らされた」

 

と、向田邦子氏は著書で述べている。

 

◇ 箸が日本に伝わったのは、

     七世紀初頭であり、

 

聖徳太子が中国に遣唐使を派遣し、

中国人が箸を使って食事をしていることを

知ったからだといわれている。

 

その後、神に捧げる食物をとる箸が

汚れないように「箸の台」が使われたことが

箸置きの由来だといわれている。

 

食事を「生命をつなぐ神聖な行為」だと、

日本人は受け止めていた。

 

その食事を担う箸を大切にする行為として、

箸置きが生み出され、

 

独特の美意識から

様々な形の箸置きが作られた。

 

慌ただしい現代生活だからこそ、

食卓に箸置きを置いて、

 

食事を味わうひと時を

大事にしたいものだ。

 

 

今日一日の人生を大切に!

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください