◇ 向田邦子氏のエッセイ本
「夜中の薔薇」に「箸置」と
題した文がある。
物書きの友人が、暮らしを楽しもうと
仕事を減らし始めたため、
理由を尋ねると、
「箸置きも置かずに、
せかせかと食事をするのが嫌になった」
と言ったそうだ。
この件で、
「箸を休ませながら食事をすることが
人間の暮らしだと悟らされた」
と、向田邦子氏は著書で述べている。
◇ 箸が日本に伝わったのは、
七世紀初頭であり、
聖徳太子が中国に遣唐使を派遣し、
中国人が箸を使って食事をしていることを
知ったからだといわれている。
その後、神に捧げる食物をとる箸が
汚れないように「箸の台」が使われたことが
箸置きの由来だといわれている。
食事を「生命をつなぐ神聖な行為」だと、
日本人は受け止めていた。
その食事を担う箸を大切にする行為として、
箸置きが生み出され、
独特の美意識から
様々な形の箸置きが作られた。
慌ただしい現代生活だからこそ、
食卓に箸置きを置いて、
食事を味わうひと時を
大事にしたいものだ。
今日一日の人生を大切に!
コメントを残す