◇ 中国経済の話をするときに、
もう1つ大きなポイントがある。
それは、経済がここ20年間に
急激に発展したため、
長く企業経営に携わっている
ミドル人材の層が極端に薄いということだ。
少し考えてみよう。
◇ 中国の改革開放路線は
鄧小平時代に開始したが、
当初それは遅々とした
スピードでしか進まなかった。
しかも悪いことに1989年の天安門事件で
西側諸国のバッシングを受け、
経済発展はここで腰折れする。
結果、1990年の段階では
中国のGDPは日本の 約8分の1
しかなかった。
同国が年率10%以上の
高度経済成長期入りするのは1994年のこと。
その後、2000年に日本の 4分の1
2009年に逆転
そして2014年に 2倍 と
猛スピードで経済規模を拡大させてきた。
つまり、2000年時点では日本経済の
4分の1しかなかった同国では、
当時から産業界に身を置く
ベテラン企業人は本当に少ない。
40代の熟練マネジャーや
エンジニアがことのほか少ない。
◇これは学歴でも同じことがいえる。
元々、中国では大学の数が少なく
定員枠も小さかった。
共産党幹部職を目指すなど、
一部の優秀層のみに高等教育は
門戸が開かれていたのだ。
1990年時点では高等教育進学率は
わずか 3.4%
(進学者数60.9万人)
その後、徐々に大学進学率は上がり出すが、
1995年で 7.2%
(92.6万人、現在彼らが40~41歳)、
2000年でも12.5% と
(220.6万人、同35~36歳)
まだまだ多いとは言えない。
これら数字からもわかることだが、
30代後半以上の大卒者は同国には少ない。
この2つの歴史的経緯があるから、
現在の中国経済界は恒常的な
ミドル人材の供給不足であり、
勢い、若年人材の獲得競争が盛んになる。
だから、あくなき昇給を求めて
ジョブホップする特異な就労環境が
成り立つわけだ。
こうした背景を考えずに、
「日本も中国のように」などと
中国型キャリアをほめそやす論考には、
問題があるといえるだろう。
◇ちなみに、中国の高等教育進学率は、
2005年に20%(進学者数で504.5万人)、
2012年には30%(688.8万人)、
2015年には40%(737.8万人)をも超える。
30歳未満に限れば、
過去とは不連続なほどに大卒人材が多くなる。
当然、教育インフラの拡充は追い付かず、
大学はまさに粗製乱造状態が続いた。
つづく
今日一日の人生を大切に!
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