中国のひとり勝ちはそう長くは続かない ③ vol.548

 

◇ 中国経済の話をするときに、

   もう1つ大きなポイントがある。

 

それは、経済がここ20年間に

急激に発展したため、

 

長く企業経営に携わっている

ミドル人材の層が極端に薄いということだ。

 

少し考えてみよう。

 

◇ 中国の改革開放路線は

    鄧小平時代に開始したが、

 

    当初それは遅々とした

    スピードでしか進まなかった。

 

しかも悪いことに1989年の天安門事件で

西側諸国のバッシングを受け、

経済発展はここで腰折れする。

 

結果、1990年の段階では

中国のGDPは日本の 8分の1 

しかなかった。

 

同国が年率10%以上の

高度経済成長期入りするのは1994年のこと。

 

その後、2000年に日本の 4分の1

2009年に逆転

 

そして2014年に 2倍 

猛スピードで経済規模を拡大させてきた。

 

つまり、2000年時点では日本経済の

4分の1しかなかった同国では、

 

当時から産業界に身を置く

ベテラン企業人は本当に少ない。

 

40代の熟練マネジャーや

エンジニアがことのほか少ない。

 

 

これは学歴でも同じことがいえる。

 

元々、中国では大学の数が少なく

定員枠も小さかった。

 

共産党幹部職を目指すなど、

一部の優秀層のみに高等教育は

門戸が開かれていたのだ。

 

1990年時点では高等教育進学率は

わずか  3.4

(進学者数60.9万人)

 

その後、徐々に大学進学率は上がり出すが、

1995年で  7.2

92.6万人、現在彼らが4041歳)、

 

2000年でも12.5% と

220.6万人、同3536歳)

まだまだ多いとは言えない。

 

これら数字からもわかることだが、

30代後半以上の大卒者は同国には少ない。

 

この2つの歴史的経緯があるから、

現在の中国経済界は恒常的な

ミドル人材の供給不足であり、

勢い、若年人材の獲得競争が盛んになる。

 

だから、あくなき昇給を求めて

ジョブホップする特異な就労環境が

成り立つわけだ。

 

こうした背景を考えずに、

「日本も中国のように」などと

中国型キャリアをほめそやす論考には、

問題があるといえるだろう。

 

ちなみに、中国の高等教育進学率は、

    2005年に20%(進学者数で504.5万人)、

    2012年には30%(688.8万人)、

    2015年には40%(737.8万人)をも超える。

 

30歳未満に限れば、

過去とは不連続なほどに大卒人材が多くなる。

 

当然、教育インフラの拡充は追い付かず、

大学はまさに粗製乱造状態が続いた。

                                    つづく

 

 

今日一日の人生を大切に!

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください