◇ 今回の調査は
国が “社会の声” に遅ればせながらも
真摯に向き合ったものであり、
国が、
「40歳以上のひきこもりが
こんなにいます!みなさん、
61万人もいるのですよ!」
と認めたことで、
厚労省が設置している全国の
「ひきこもり地域支援センター」
などを主体に、
40歳以上の人への支援が
広がることが期待されるのである。
◇ それだけではない。
「誰にも相談しない」人が
4割もいたという事実は、
80代の親が50代のひきこもりの
子どもを支える、
いわゆる 「8050問題」
の深刻さを顕在化させた。
◇「8050問題」は、非正規の増加と
密接に結びついた社会問題である。
低賃金で不安定な非正規が増え、
親と同居する中高年の
パラサイトシングルが増加。
*パラサイトシングル
学卒後も親と同居して、
生活を親に依存している未婚者のこと
ご近所さんからは
「あそこの息子は結婚もしないで、
いつまでも家にいて・・・・」
などと揶揄され、
どうにかしたいと思いつつも、
世間のまなざしから
逃れるように「ひきこもる」。
◇ その一方で、親も年をとり、
介護が必要となる。
子は親に経済面で依存し、
親は子に自分の世話をしてもらうことに
依存するという、
社会的経済的リソースが欠如した
親子の相互依存が、
ますます貧困リスクを高め、
孤立を深め、
社会から切り離されてしまうのである。
◇ 中高年のひきこもりは、
今まで、高齢者の介護などを支援する
ケアマネさんの報告に委ねられていた。
言い換えれば、介護問題の専門家と
高齢者を支援する立場の人たちに、
「8050問題」という、
極めて社会的リスクの高い問題が
押し付けられていたのだ。
◇「子ども」は50代が半数で、
未婚の男性がほとんど。
約7割はひきこもりの定義に当たり、
約3割は親を介護している。
約4割は親を虐待(疑いを含む)
していることもわかった。
報告されたケースの中では、
認知症の70代の両親と
同居する50代の未婚女性が
ひきこもっていたり、
要介護の80代の母親と
同居する50代の未婚男性がひきこもり、
経済的困窮に陥っていたりしていた。
「母親は、おそらく本人が若い時に、
本人が社会復帰できるよう色々な手を
尽くしてきたのだろうが、
現在となっては諦めているのか
本人の意向に逆らうことがない」
「『あの子がいないと
通院も買い物もできないし、
助かっているから何も言えない。
私の育て方が悪かったのよ』といつも話す」
親子であるがゆえの苦悩と、
親子であるがゆえの安心感。
そして、自分が死を迎えたあとに
残される子どもへの思い・・・。
諦めと後悔とそれでも生きていかなきゃ
ならない人生に翻弄されている親子が、
私たちのすぐ近くにもいるかもしれない、
という現実が存在していた。
つづく
今日一日の人生を大切に!
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