◇ 現在は年金をもらい始める年齢を
60~70歳の間の何歳にしても、
加入者が平均的な寿命まで
生きた場合にもらう年金の総額が
変わらないよう設計している。
基準となる65歳よりも
前倒しして受け取ると
年金額は1カ月あたり 0.5% ずつ減り、
後ろ倒しなら 0.7% ずつ増える。
60歳で受給開始なら基準額から3割減り、
70歳まで遅らせれば42%増える仕組みだ。
年金額を上乗せするインセンティブ
をつける方向だ。
◇ 例えば増額率を 0.8% にすると、
75歳まで受給開始年齢を後ろ倒しした
場合にもらえる年金額は、
基準額から1.9倍 に増える。
70歳以上で就業している人の割合は
17年時点で 15% だが、
今月実施された郵送世論調査では、
70歳を過ぎても働く意欲を持っている人は
3割 に上った。
高齢世代の就労意欲は
今後一段と高くなっていく可能性がある。
◇ トンビも健康であれば、
85歳ぐらいまでは働きたいと
考えている。
ただ実際に年金をもらい始める時期を
遅らせる高齢者が増えるかどうかは不透明だ。
60歳の定年後に再雇用制度がある大企業では、
60歳を過ぎると50歳代に比べて
賃金が半額になることも少なくない。
生活水準を維持するため、
年金を受け取ることを選択せざるを
得ない人が多い。
今の仕組みでは受給開始年齢を
65歳よりも後ろ倒しする人は
1% しかおらず、
むしろ前倒しする人が多い。
こうした状況を変えるには、
年齢ではなく能力に応じた
賃金制度を普及させるなどして、
意欲と能力のある高齢者の賃金水準を
引き上げることがカギを握る。
◇ もう一つの焦点は一定の収入がある
高齢者の年金が減る「在職老齢年金」だ。
60~64歳で年金と給与の合計が
月28万円を超えると、
超過分の半分の年金が減額されるので、
就労抑制につながっているとの指摘が根強い。
内閣府の分析では、この制度がない場合、
高齢者がフルタイムで働くことを選ぶ確率は上昇し、
14万人分の押し上げ効果がある。
◇ ただ在職老齢年金を撤廃すると
年金財政は悪化する。
総額で1兆円以上の給付が必要になるためだ。
年金制度の改革によって
高齢者の就労を後押しするには、
公的年金等控除の見直しなどと合わせて
きめ細かい制度設計が必要になる。
制度がどうなるにしろ、
出来るだけ長く働くことができる
準備はしていた方がよさそうだ。
完
今日一日の人生を大切に!
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