◇ この工場での生産の標準化や
品質管理を担っているのが、
カイゼンのプロ、日本人 なのだ。
打ち合わせでは、その日本人は、
とにかく判断と決断が早っかたそうだ。
ヘッドハンティングされているため、
結果を求められる。
そして経営陣も日本人に
期待をして雇用している。
契約の一年一年が勝負なのだろう。
決めたことをバンバン推し進めて、
カイゼンを実行しているという。
費用に対しての決済権もある程度は
任されているようで多少コストが掛かっても、
問題が解決してその後の運営の判断が
良くなるなら全く問題ない。
◇ 今回彼が訪問した先の日本人のように、
結果を求められ契約条件を持った
プロのスタッフの場合、
行動力も判断力も違うし、
行動を決めたあとの投資力が桁違いに違う。
また品質に関しても、現在の日本は過去の蓄積や
日本人気質とも言うべき勤勉さなどで、
どうにかカバーをしてきている部分があるが、
最近の日本企業のデータ不正の
ニュースなど見ていると、
「今まで中国企業をバッシングしていたのに、
結局日本でも似たような事が行われている」
と思ってしまう。
日本企業は技術者に対して冷遇と
言われることがあるようだが、
給与面だけではなく、
今回彼が会ったシニア層の技術者の方は、
非常に生き生きと仕事に取り組んでいたという。
結果がついて回るからかも知れないが、
自己責任で判断・行動し、余計な根回しや
責任逃れの言い合いなども無い。
だから生き生き働かれているのかも知れない。
◇ 技術者の彼らは、求められれば
日本企業でも中華系でも働いて結果を出す。
中華系は高給を与える変わりに
ノウハウを享受する。
日本人の彼らは、高給以外にやり甲斐や
自身の技術が求められている点に、
喜びや価値を感じているのではないだろうか。
◇ 日本企業に勤める中国人は、
日本人との距離をうまい具合に保ち、
「早く帰任しないかな」と思いながら、
日本人の指示を「最低限守って」、
したたかに仕事をしている。
彼らからすると日本人は
上司や仲間ではなく、
日本から来たお客様程度の感覚なのだろう。
それはこれまでいた日本人が現地で情熱を
傾けて仕事をしていないのが、
彼らに見透かされているからだ。
日本人自身が招いた結果なのだ。
◇ 中華系企業の経営者は、
そんなしたたかな中国人の考えを
把握しているので、
中国人が結果を出せる土壌作りと、
中国人を使わないで済む
職場環境作りに余念がない。
高給の日本人を雇ってでも、
自分たちにない考えや発想を取り込んで、
中国での激しい競争に勝ち残りたい。
貪欲な経営陣とお客様扱いの日本人、
そんな構図が浮かんでくる。
日本と中国はIT業界においても
間違いなく差が開きつつある。
このままでは技術の面でも、
日本は徐々に茹でカエルの如く
沈んでいくかも知れない。
完
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