自家用車の車検は高くないか ③    vol.351

 

◇ 必要かどうかも分からないまま、

   一般消費者が迫られる部品交換や

   不透明な車検の料金体系。

 

長い歴史のなかで、積み上げてきた

整備工場や自動車販売店、メーカー、

行政による利権構造が見え隠れする。

 

ただ、こうした既得権益層も、

このまま利権を貪り続けられる保証はない。

 

3つの波が押し寄せているからだ。

 

◇ 1つ目は、「人手不足」

     他のサービス業と同様に、

     整備業界でも人は集まりにくくなっている。

 

人員不足により事業継続も

難しくなりつつあり、

 

「外国人労働者に頼るしかない」

(業界関係者)との声も漏れる。

 

◇ 2つ目の波は

「不透明な商習慣を改善しようとする動き」

   が「身内」から出てきていることだ。

 

兵庫県神戸市の整備工場。

 

持ち込まれた乗用車を前に、

整備士が利用客に説明を始めた。

 

「ここの変速機から少し油が

   にじんでいるのが分かりますか。

   この程度なら車検は通ります。

   あまり乗られないようなら、

   今回は部品を交換する

   必要はないですが、どうしますか」

 

利用客が来店すると、

 

まず、車の利用頻度や

今後どれぐらい乗り続ける

つもりかをヒアリング。

 

整備士は工場内で

交換する必要のある部品を見せながら、

利用客にその判断を仰ぐ。

 

交換する部品の費用や、工賃、

必要な作業時間もその場で説明する。

 

利用客に的確に説明できる整備士を

育成するには時間もかかるし、

手間もかかる。

 

それでもこうしたサービスが定着すれば、

作業内容の透明性は高まり、

 

過剰整備 が減ることで料金も

下がるかもしれない。

                                   

◇ ただ、競争原理が働く前に、

    市場を縮小させかねない事態も迫っている。

 

   利権を崩す3つ目の波は「技術革新」だ。

 

自動車市場ではガソリン車から

EV(電気自動車)へと、

電動化のシフトが進み始めている。

 

AI(人工知能)の技術開発も進み、

自動運転車の実用化競争も激しくなっている。

 

こうした動きが

「車検のあり方を変える」

かもしれない。

 

EVはガソリン車に比べて、

圧倒的に部品点数が少ない。

 

交換部品もそれだけ

少なくなることを意味する。

 

自動運転車が普及すれば、

交通事故が減るかもしれない。

 

そうなれば、整備や修理にかかわる

ビジネスは確実に減る。

 

これは世界的な流れであり、

 この傾向は日本でも同じだ。

 

何よりも、EVや自動運転車は

ソフトウエア制御による機能が増え、

点検するノウハウが大きく変わる。

 

◇ いずれにしても、

    今後は整備士が会得すべきノウハウや

    知見はどんどん増えていくことは間違いない。

 

技術の進化で、自動車の故障が減り、

電動化で機械部品の減少による

部品の磨耗や消耗が少なくなるのであれば、

 

国が車の安全性を保証するような

車検制度はそもそも必要なのか、

という疑問だ。

 

少なくとも、現状の新車登録後3年、

以降は2年ごとという頻度での

車検の有用性は薄れてはいないだろうか。

 

車検制度が日本の自動車社会の

安全を守ってきたことは確かだ。

 

だが、その法的に義務付けた

世界でも珍しい車検制度が、

 

自動車保有者に金銭的な負担を

必要以上に強いてきた現実がある。 

 

技術革新をはじめとする

変化の波が押し寄せている今こそ、

 

安心・安全の自動車社会の確立と、

誰もが納得する負担のあり方を

考える好機にしてもいいはずだ。

 

とりあえず、

次回の車検はディーラー以外を

検討することにする。

                                      

 

 

今日一日の人生を大切に!

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