孫氏の描くコロナ禍の「最悪のシナリオ」③    vol.932

そんな中でトンビが注目するのが、

  「CLO 」と言う金融商品だ。

 

これは様々な貸付をまとめた上で、

細分化して投資家に売り出す、

いわゆる証券化商品と呼ばれるものだ。

 

証券化商品とは、あの悪名高き

リーマン・ショックの元凶ともなった。

 

その時は、アメリカの住宅ローンを束ねた
                           (サブプライムローン)

証券化商品(CDO)が金融市場に出回っていた。

 

そこへ住宅ローンの焦げ付きが

発生したことで、

 

証券化商品の価格が大幅に値下がりし、

最終的にリーマン・ブラザーズの

破綻と言う形で金融危機もたらした。

 

CDOCLOで大きく異なるのは、

    裏付けとなる貸付が

 分散されているところ。

 

サブプライムローンでは

住宅ローンだけが対象になっていたが、

CLOはあらゆる業種に分散している。

 

それによって一部の業種が悪くても

他のところが支えとなり、

大幅な価格下落は起こりにくい。

 

つまり、リスク分散された

CDOより安全な商品という

ことになっている。

 

ところが現在のコロナ禍では、

  セクター分散というのも

  あまり意味をなさなくなっている。

 

前稿に挙げたように、

あらゆるセクターで危機が

起こっているからだ。

 

そもそも融資を必要とする業種と言うのは、

リアルな店舗を持っていたり、

量の設備投資を必要とするところが多い。

 

それらは、好調なIT関連とは異なる、

まさに従来型の業種だ。

 

緊張の糸が切れた時、

それらの企業がバタバタと

倒産してしまうということも

十分に想定される。

 

そうなると、2018年の時点で

    流通残高が6,600億ドル(約70兆円)に

    及ぶ CLO もただでは済まない。

 

なお、その CLO を最も多く

保有している金融機関が、

日本の農林中央金庫と言われている。

 

これに対して、

日銀や金融庁は警戒感を示した。

 

ここが火薬庫となってしまわないことを

祈るばかりだ。

 

金融の世界には、

  「ブラックスワン」

 という考え方がある。

 

白鳥の中に突然現れる

「黒い白鳥」のことだ。

 

予期しないところから突然現れる

重大な事象のことをあらわす。

 

2020年の新型コロナウィルスの蔓延は、

まさに「ブラックスワン」だったと

言うことができる。

 

誰も予期しない突然の出来事によって、

世界がガラッと一変してしまう。

 

このようなことが起こるからこそ、

相場の予想というのはあまり意味を持たない。

 

2021年の相場がどうなるかはわからない。

 

しかし、確実に言えることは、

 

「ひたすら上昇を続ける株価はない」

 

 ということだ。

 

上がりすぎた株は

どこかで必ず下がるし、

 

再びどこかから黒鳥が

現れないとも限らない。

 

そうなったときには株式市場は

大混乱に見舞われる。

 

しかし、長い目線で見れば、

一時的な混乱を経て長期的には

株価は再び上昇に向かう。

 

過去もそうだったように。

 

長期的には楽観しているが、

    短期では悲観している」

  ――孫氏もこのように言っている。

 

この姿勢こそが、我々にも求められる。

 

足元は慎重に、長期的には明るい展望を持って

ゆっくりと歩みを進めなければならない。

               完

 

 

今日一日の人生を大切に!

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