ノーベル文学賞の裏事情 ②  vol.871

ノーベル文学賞を受賞したのは

  川端 だったが、

 

これによっていくつかの

予期せぬ出来事が発生することになる。

 

日本社会に波風を立てないように

配慮した気配りが、

 

逆に波風をたてる結果と

なってしまったかもしれない。

 

それはその後の二人の人生を見れば

一目瞭然だ。

 

まず受賞した川端は、

  4年後の72年に自殺。

 

理由は遺書がないのでわからないが、

ガス管を咥えていたため、

意図的に自殺したのは明らかだ。

 

ノーベル賞を受賞してなければ、

自殺はなかったかもしれない。

 

一方の三島は有名な

あの三島事件を引き起こす。

 

もし彼がノーベル賞を受賞していたら、

あの事件は起きなかった可能性がある。

 

三島はノーベル賞を

喉から手が出るほど欲しがっており、

 

ドナルド・キーン氏が彼の作品より

安部公房の作品を先に翻訳したりすると

なじるなど、

 

ノーベル賞の受賞に

並々ならぬ意欲を燃やしていた。

 

ノーベル文学賞の受賞が

彼の作家としての名声の

最後の重要なピースであったようだ。

 

彼は、

「気品と格調こそが

 文章の最後の理想である」と語っていた。

 

まさに「ノーベル賞」こそが彼の文書に

気品と格調を与えるはずであった。

 

もし仮に受賞していれば

「ノーベル賞作家」としての振る舞い、

 

あの様な行動を

とらなかったかもしれない。

 

また、ノーベル賞を受賞できなかった

そのフラストレーションが、

 

現実の世界である政治への不満として

鬱積したのかもしれない。

 

ノーベル文学賞の順番が回ってくる

地理的要因から考えて、

 

次の日本人の受賞まで

20年はかかることを彼は知っていた。

 

彼はそれまで待てなかった。

 

いずれにせよ、

ノーベル賞の受賞は三島にとって、

 

かなり欲求不満のガス抜きに

なったであろうことは想像に難しくない。

               完

 

 

今日一日の人生を大切に!

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