コンピューターが計算したあなたの余命カルテ ③ vol.633

 

◇ 将来の病気は、

    どこまで予測できるのか。

 

二千数百年来の難題に

最新科学のメスが入った。

 

中国の古い医学書「黄帝内経」

こんな記述がある。

 

「上医治未病、

   中医治欲病、下医治已病」

 

大まかな意味は、

 

「一流の医者は、病気にさせない。

 

   二流の医者は、

   病気になりかかっている人を治す。

 

    三流の医者は、

   病気になっている人を治す」

 

一流の医者は、まだ病気になっていない

「未病」を治すと諭している。

 

◇ 健康と病気の中間に

    未病という状態があり、

 

この時期に体の異常を元に戻せば、

簡単な治療で健康を保てると説く。

 

未病のうちに何もできないと

病魔は静かに体をむしばみ、

ある日、病気が発症する。

 

そうなったら治療に時間がかかったり、

重症になったりしてしまう。

 

◇ 未病が表れる時期の予測に

    データで挑んだのが、

 

東京大学の合原一幸教授や

富山大学のチームだ。

 

脂質代謝異常や高血圧などが問題になる

メタボリックシンドロームに

かかりやすい特殊なマウスを飼育し、

 

血液中の成分や体重などのデータを

若いうちから集めた。

 

メタボを発症したのは8週目だが、

実は5週目の時点で遺伝子のデータが、

 

明らかに「揺らいでいる」

ことがわかったという。

 

健康な体はいろいろなデータが

安定しているようにみえる。

 

一方、病気を発症しそうな体になる途中、

遺伝子や血液中の成分などのデータが

変動し始める。

 

一つ一つはわずかな変化でも、

総合的に解析すれば、

 

安定した状態から

揺らぎ始めるタイミングがつかめる。

 

◇ 今回、数学の理論を駆使し、

    体の状態の変化をとらえる

    計算方法を編み出した。

 

この方法が確立すれば、

生活習慣などが何十年もかけて

体にストレスを加え、

むしばまれ始める兆候をキャッチできる。

 

肝硬変のような病気を発症前に

「治療」できるかもしれない。

 

『未病を診断し、治療する』

     という発想が広がれば、

 

病気の患者が減るだけでなく、

治療薬の可能性も広がる。

 

これまで病気を治すためには

力不足だった薬の候補物質が、

 

未病なら治せる「未病治療薬」として

日の目をみることになる。 

                                 完

 

 

今日一日の人生を大切に!

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