いつの時代でも最高の仕事をする「金剛組」 vol.385

 

「金剛組」は反社会的勢力ではない。

 

      創業1400年の歴史を持つ

      世界最古の企業である。

 

その金剛組の経営哲学を

 同社相談役・金剛利隆氏がまとめたのが 

   「創業一四〇〇年」

 

本書が出版される直前、

2013年10月28日に著者は永眠。

 

これが遺作となる。

 

◇ 金剛組の教えの中心は、

     第三二代喜定が遺した

「遺言書」と呼ばれる十六条の戒律。

 

・御殿ならびに武家のことは
   深く考えなくともよい。
   その主人の好みに従うこと。

・読書・そろばんの稽古をせよ。
   これは職家で一番大切なこと。

・なにごとも諸事万端取引してくれる方々へは
   無私正直に対応しなさい。

・大酒をしないように心がけなさい。

・身分以上の華美な服装をしないこと。

・人を敬い、穏やかな言葉遣いをすること。

・配下の者、弟子などには深く情けをかけること。

・なにごとにも、他人と争うな。
   どの人と接するときも慇懃(いんぎん)にせよ。

・自身に不相応なことは、
   親類を集めて相談したうえで、
   万事取り計らいなさい。

・先祖の霊年、命日には怠けることなく
   香華を供え、供養の営みをすること。

 

◇ さまざまな教えが書かれており、

     その中でも興味を持ったのは、

     十六条とは違うこの一文。

 

<いつの時代に、

   誰に見られたとしても

   恥ずかしくない仕事をする>

 

「誰に見られたとしても

  恥ずかしくない仕事をする」なら、

よくある話だが、

 

これに「いつの時代に」が加わると、

まるで意味が変わる。

 

自分の仕事は、数十年後、

数百年後誰かに見られても

恥ずかしくない仕事だろうか?

 

自分の仕事の中に

歴史と未来が意識できているか。

 

◇ 宮大工は完成した寺社に、

     工事関係者の名前を書いた

   「棟札(むなふだ)」を残す。

 

これが見つけられるのは、

次の解体作業の時。

 

短くても数十年、長ければ数百年間、

誰の目にも触れない棟札もある。

 

そういえばあのジョブズも、

マックの回路基盤に

開発者の名前を刻印していた。

 

これは建築とはちがい、

他人の目に触れることはまずない。

 

<最高の仕事をすること。

   そしてそれができる弟子を育てること>

 

それが宮大工の使命であり、

棟梁の責任でもあると、

著者は語っている。

 

ここには我々のいまの世界にも

相通じるものが、確かにある。

 

 

今日一日の人生を大切に!

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