◇ 相続税法は平成27年に大幅に改正され、
課税対象者が大幅に増えた。
それ以前は、最低でも 5800万円 の遺産を
もらわなければ相続税はかからなかった。
だが、平成27年からは
3600万円以上 の遺産をもらえば
相続税がかかる可能性が出てきた。
◇ 3600万円 というと、
ちょっと都会に家を持っていれば
超えてしまうような額だ。
親が、そういう家を所有して住んでいる、
という人はけっこういるのではないだろうか。
都心部であれば、狭い家でも普通に
4~5000万円する。
買うときは安かったが
今はすごく地価が上がっているという場所も、
都心部にはけっこうある。
そういう人たちは、相続税に対して
戦々恐々としているのではないだろうか。
そういう
「親の自宅のために相続税がかかりそう」
という人のために、
今回は、親の自宅を非課税で
相続する方法をご紹介する。
◇ 対象となる家は、
時価で 3000万円から2億円程度
2億円以上となると、
ちょっとゼロにするのは難しい。
まあ、2億円以上の豪邸を
お持ちになっている人は、
それなりに税金を払うべきだと思う。
◇ では、一般的な人は
どうすればいいかというと、
親の家を相続する際に、
一番いいのは 「二世帯住宅」 にすることだ。
現在の税法では、
「小規模宅地等の特例」
と呼ばれるものがある。
これは330平方メートル以内の宅地を、
死亡した人と同居している親族が相続した場合、
土地の価格の 8割減 で
評価されるというものだ。
ほ~、 これは利用しない手はない。
つまり、時価2億円の土地であっても、
相続税の財産評価としては
4000万円 でいいことになる。
4000万円 となると、
相続税がかかるかかからないか
ギリギリのところになる。
基礎控除:3000万円+600万円×法定相続人の数
相続人が2人以上の場合は相続税がかからない。
また、年間110万円の控除を使って、
生前に資産を分配していれば、
4~5年で最低でも550万円の
遺産を減らすことができる。
つまり、
4000万円くらいの相続資産であれば、
4~5年もあれば、相続税をかからなく
することができる、ということだ。
だから、「二世帯住宅」に親と一緒に住めば、
事実上、時価2億円程度の家は、
無税で引き継ぐことができる。
土地の広さの限度は
330平方メートルになっているが、
これは坪にすると 100坪
100坪というと、都心部では
そうそう見られないくらいの広さだ。
だから、ほとんどの家は、
この限度内に収まるはず。
そして、この「小規模宅地等の特例」は
広さの縛りはあるが、価格の縛りはない。
つまり、330平方メートル以内であれば、
どこの土地でもいい。
日本一地価が高いとされている
「銀座の鳩居堂前」の
土地であっても対象となる。
この「小規模宅地等の特例」は、
非常に魅力的な制度であるが、
「同居」という条件があるため、
そこで引っかかっている人もけっこう多い。
◇ そこで、この「小規模宅地の特例」は、
平成27年の改正により、
完全分離型の二世帯住宅も
対象とされることになった。
以前は、完全分離型の二世帯住宅は
この特例の対象外とされていた。
玄関や住宅の一部が共同になっている住宅しか、
この特例の対象とはされなかった。
しかし、平成27年の税制改正からは、
玄関が別々で、両家の間が行き来できない
「完全分離型」でもいいということになった。
完全分離型の二世帯住宅ならば、
二世帯住宅のハードルも
かなり下がるのではないだろうか。
◇ また平成27年の改正では、
死亡時に老人ホームにいても、
入所前に同居していれば特例の対象となる、
ということになった。
この特例は、
原則として財産を持っている人と、
それを相続する人が
同居していなくては適用できない。
だから、以前は、親が高齢のために
老人ホームに入所したような場合は、
この特例が適用できなくなっていたのだ。
しかし、平成27年の改正により、
親が老人ホームに入所したことで、
死亡した時にその家に
住んでいなかったとしても、
介護が必要なために入所したような場合は、
適用されることになった。
◇しかも、この「小規模宅等の特例」では、
必ずしも同居していなくても、
この優遇制度を受けられるケースがある。
それは、どういうケースか簡単にというと、
① 被相続人に同居している相続人がいないこと
② 相続人が自分の家を持っていないこと
つまり、持ち家がなく賃貸住宅に
住んでいる相続人が、故人の家を引き継いだ場合、
この優遇制度を受けられるのだ。
◇ 典型的なケースでは、故人が一人暮らしで、
子供は別のところで賃貸住宅に住んでいる、
というような場合だ。
こういうケースは、昨今よくあると思われる。
この制度は「家なき子制度」と言われている。
この「家なき子制度」は、
家を持っていても売却してしまっている人や、
持ち家を賃貸に出して3年以上経過した人も、
対象になる。
家なき子制度の主な条件は、次の2点。
① 故人と同居していた法定相続人がいない
② 法定相続人は3年以上、賃貸住宅に住んでいる
この条件に満たしているような人は、
ぜひ「家なき子制度」を使って欲しい。
最近、2世帯住宅を
よく見かけるようになった理由は、
嫁と姑が仲良くなった世帯が増えたからではない。
実は「相続対策」なのである。
※ 詳しい内容は税理士に相談のこと。
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