◇ 通信教育・学習塾のZ会。
一部の優秀な受験生のみぞ知るという
イメージが大きく変わろうとしている。
自分より規模が2倍の栄光ゼミナールを
2015年に買収。
その後も拡大路線を行く。
5年前に大政奉還で社長になった
創業家の3代目はまだ46歳である。
知られざる大学受験の世界をのぞいてみよう。
◇ Z会の答案用紙と添削。
あまりの難度で脱落する生徒も多かった。
こうした受講者も結構多い。
直接対面せずに難しい問題を解くには
高いモチベーションが必要だ。
Z会の名門のイメージはこうしてできた。
もともとの社名は「実力増進会」といったが、
受験生の間で「Z会、Z会」と
隠語のように使われるうちに、
正式社名になってしまった。
その秘密組織的な会社が
大きく変わろうとしている。
◇ 2015年、同業で売上高が
2倍もある栄光ゼミナールを買収し、
受験業界をおどろかせた。
2017年には難関私大文系専門の
予備校「増田塾」、
オンライン教育の「アオイゼミ」を運営する
葵(東京・新宿)を相次いで買収。
200億円にみたなかった売上高は
栄光の取り込みで 3倍に。
さらに2020年には
810億円まで拡大をめざしている。
◇ 大学受験の「トップ2」は駿台と河合塾。
18年、東大への合格者数は
駿台が 1400人
河合塾は 1300人 だ。
一方、この2校と並び「三大予備校」と
称された代々木ゼミナールは、
2015年に27カ所あった校舎のうち
20カ所を閉鎖する事態に追い込まれ、
現在は合格実績を公表していない。
ここに食いこんだのがZ会だ。
通信教育・教室合わせた
東大合格者数は1000人。
ちなみに東大の定員は約3000人。
トップ3の合格実績を足しただけで
定員を超えるが、
これは教科ごとに塾を変える学生がいたり、
夏期講習や冬期講習だけの受講生を
カウントする予備校があったりするせいだ。
◇ 日本人の大学進学率は
2000年度の39.7%から18年度に53.3%と
右肩あがりで伸び続けている。
その間、景気低迷を受けて浪人の数は
約14万6000人から約10万人に減った。
代ゼミの大量閉校はこのためだった。
日本の18歳人口は同じ期間に
151万人から117万人まで減少した。
受験業界では、スマートフォンの
アプリを使った遠隔授業サービスも登場し、
新しい競争が始まっている。
市場が縮小するなかで
どんな変化にも対応できるように
構えを広げようとするが、
急な拡大にはリスクもある。
◇ それでも歩みは止められない。
Z会の背後には、人気講師を広告塔にする
東進ハイスクール(ナガセ)が
東大輩出700人で迫る。
ベネッセが2007年に買収した鉄緑会は
東大受験指導専門の触れ込みで、
18年に345人を輩出した。
東京・新宿のみに教室を構える
独立系のSEGも 121人
都内で3校舎を運営するグノーブルは
705人の在籍者のうち
118人を東大に合格させている。
今年ももうすぐセンター試験が始まる。
膨張を続けながら、Z会のブランドを
ますます研ぎ澄ます努力に終わりはない。
今日一日の人生を大切に!
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