「男はつらいよ」志乃のセリフ    vol.79

「私、近頃よくこう思うの

      人生に後悔はつきものじゃないかしらって

      ああすればよかったなあという後悔と

                もう一つは

      どうしてあんなことをして

     しまったんだろうという後悔……」

                                    

◇ これは

    「男はつらいよ 第17作

           寅次郎夕焼け小焼け」 の

     志乃のセリフです。

 

   この志乃役を演じたのは

   往年のスターである岡田嘉子さんです。

 

   岡田嘉子さんは戦前にソ連へ亡命し、

   戦中戦後の数々の苦しい体験を経て、

 

   日本へ一時帰国している時に

   この映画に出演されたそうです。

 

  その岡田さんの人生は

「数奇な生涯」という言葉が当てはまります。

 

◇ 愛人と手を取って南樺太の国境線を越え、

    亡命したが、運悪くスターリンの大粛清の

    最中だったこともあり、愛人は銃殺。

 

    岡田さんも10年もの間、厳しい収容所で

    強制労働を強いられています。

 

◇ 10年間の収容所生活から解放された

     岡田さんは、モスクワ放送のアナウンサー

     になって、後に滝口慎太郎氏と結婚。

 

     彼の死後、1972年に滝口氏の遺骨とともに、

     実に34年ぶりに帰国を果たします。

 

◇ この「夕焼け小焼け」に出演した当時、

    岡田さんは一切そのことを人にもスタッフにも

    言わなかったため,この衝撃の事実がわかった

    のは、その後、ソ連に戻ってからだといいます。

 

◇ この言葉は、その経緯を知ってから考えると、

    岡田さんの人生そのものであり、岡田さん

    以外の人には言えないセリフだった

    のかもしれません。

 

    もしかしたら、脚本にはない本人の

    アドリブだったのではないでしょうか。

 

◇ 岡田さんは14年後に日本を去り、

    私を愛してくれた2人の男が眠るソ連に戻り、

    かの地で独り寂しく永眠されたそうです。

 

    多磨霊園にある墓碑には

 

   「悔いなき命をおしみなく」

 

    という自筆が刻まれています。

 

    愛人と亡命しなくても後悔しただろうし、

    亡命しても後悔がつきまといます。

 

    人生とは、そのとき そのとき を

    納得して生きていかない と

    しかたないのかもしれません。

 

        それが   人生です。

 

*今日一日の人生を大切に!

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