◇ 学校に 「校舎」 がない、
教師は 「講義」 も 「テスト」 もしない、
全寮制なのに、授業はすべてオンライン……。
今、こんな「ありえない大学」が
ハーバード大学やスタンフォード大学よりも
人気を博している。
その大学、「ミネルバ」は、
果たしてどのようにして
世界中の才能ある生徒を
惹きつけているのだろうか?
その仕組み、カリキュラム、
テクノロジーを初めて明らかにした
『世界のエリートが
今一番入りたい大学ミネルバ』より、
その一部をご紹介する。
◇ 欧米の著名な建築家が設計した
歴史ある講堂も、広大な敷地に点在する
研究施設や運動施設もなく、
著名な卒業生もいない。
学生寮は都市の中にある
普通の集合住宅を利用し、
授業はすべてがオンライン……。
聞くまでもなく、
そんな大学にあなたが行きたい、
もしくは自分の子どもを行かせたい
という可能性は低いだろう。
しかし、
サンフランシスコに拠点を置き、
「高等教育の再創造」を掲げた
教育事業会社である
ミネルバ・プロジェクト社が
「21世紀最初のエリート大学」
として設立したミネルバ大学は、
まさに、そんな一面を持つ大学だ。
そして、この資産がほぼゼロの大学には
世界中から2万人以上の受験者が集まる。
そして合格率がわずか 1.9% で、
ハーバード大学、スタンフォード大学、
ケンブリッジ大学などの名門大学の
合格を辞退して進学する学生がいることを
あなたはどう思うだろうか。
そして、さまざまな大学ランキングの
表には掲載されていないこの大学が
開校直後から、かつてはアイビーリーグの
学生ですらインターンを許されなかった
トップクラスの研究所で
大学1年生から社会人研究員と
一緒にプロジェクトを遂行したり、
1年生終了時のクリティカル思考力を
測定する外部テストで全米の大学の中で
圧倒的1位の成績を収めたりしている事実を、
どう解釈すればいいだろうか。
◇ ミネルバ大学は人々が長らく
質問することすら忘れていた
トップ・エリート大学の「学びの質」と
「非効率な経営」を徹底的に考え直し、
高等教育をあるべき姿に戻す使命のための
ベンチマークとして設立された。
既存の大学が解決できずに苦しんでいる
「変化の速い社会で活躍するための実践的な知恵」
「複雑化した国際社会や異文化への適応力」
「高騰する学費と学生ローン」 に対して,
見事なまでに具体的な実例で
その解決法を提示している。
◇ たとえば、すべての授業を
オンライン化したミネルバ大学は、
郊外に広大な土地を購入し、
豪華なキャンパスを新たに建設する必要がなく、
「都市をキャンパスにする」経営が可能だ。
滞在都市にある最新の研究施設や
芸術施設、図書館などを利用し、
企業との共同プロジェクトを実施できる。
この授業で学んだことを実社会で
すぐに実践し、習得していく経験学習は、
社会と隔絶された講堂の中で
教授による一方通行の講義を聞くよりも
はるかに学習効果が高いことが
証明されている。
◇ オンラインで授業を行うメリットは、
まだある。
物理的なキャンパスが必要ないため、
学生が世界中を巡り、
異文化にどっぷりと浸ることを可能にした。
学生たちは4年間で7つの国際都市を巡回し、
滞在地で現地の企業、行政機関、
NPO等との協働プロジェクトや
インターンを経験しながら
現地の人たちと同じ生活を営む。
世界中から集まり、同じ寮に住む学生たちは
共同生活を通じて、
濃密なコミュニティを築いていく。
実社会と学校のシームレスなつながりを
グローバル規模で実現している。
また、教員は自分の滞在している研究施設から
授業を行うことができ、
その分移動コストと時間を
研究活動にあてることができる。
そして、豪華なキャンパスや
施設の建設に伴う負債を持たない
この大学の学費は年間 約 150万円
既存の米国トップ・エリート大学の
3分の1未満だ。
さらに、国籍、性別、人種、同窓生の
有無によって合格基準を変えず、
公平で返済不要の奨学金制度を
採用したことで、
世界中から2万人を超える学生が応募している。
合格率は1.9%と世界でも
最も難関な大学の1つであるが、
日本人学生も 3名 合格・進学している。
つづく
今日一日の人生を大切に!