◇ 薩摩藩士の子供は、
こんな思考訓練を千回以上も
繰り返していた。
西郷隆盛 や 東郷平八郎は、
こういう教育土壌の中から
出てきた人物といってもよい。
薩摩人は「もし、こうなったら」と
考える反実仮想力が強く、
あらかじめ手を打つから、
想定外のことが起きても、
あわてることが少なかった。
◇ 事実、幕末の薩摩は、
他人からずるいと言われるほど、
「政局判断」に誤りが少なかった。
うまく渡り合って、
幕府にとどめを刺した。
それに対して、
長州藩は無謀な戦いを仕掛けて敗れ、
会津藩は、ひたすら大義名分を
訴えて敗者となり、
朝敵の汚名を着せられた。
長州 も 会津 も
「リアリストたる薩摩藩」に
してやられたことになる。
この背景には、
薩摩武士のリアリズムにあふれた
育ち や 教育 が大いに関係していると、
トンビはそう思う。
◇ 現代に生きる我々は、
良いと思った価値を、
次世代に伝える努力が
まだまだ足りないのかもしれない。
この国は平和な時代が
すでに70年以上も続いている。
平和が続くことはいいことだが、
日本のリーダーが
学校と試験のみで選抜され、
戦争の地獄を経験していない
学歴エリート世代が、
政治家や高級官僚や
経営者になっている。
つまり江戸時代にはじまった官僚制が
いまなお脈々と続いているということになる。
◇ はたして我々は、
リアルな判断力を
もっているのか?
判断力を鍛えるには、
どのような訓練が
よいのであろうか?
薩摩の歴史・教育は、
何らかの示唆を含んでいると思われる。
変態百出の世界にあって、
次世代に取捨選択して
どれをどのように与えていくかを
考えたとき、
歴史は知恵の宝庫である!
おそらく、
次世代に必要とされる教育は、
抽象概念を知識として
流し込むものではなく、
「郷中教育」のような
臨機応変な判断力を
鍛えるものになるではなかろうか。
次が最終回です! つづく
今日一日の人生を大切に!