人智の発達と機械の進歩は、
江戸長崎の行軍時間を東京倫敦(ロンドン)の
行軍時間と同一にしたることを忘れべからず。
◇ 秋山真之は日露戦争期の
海軍作戦参謀。
この国は彼の脳髄によって
ロシア艦隊を沈め、独立を守った。
この男は 時間 と 進歩
の価値をだれよりも理解できた。
◇1903年、
秋山は海軍大学校で戦術を教えた。
長く国防機密であった
その講義録の内容は
驚愕すべきものである。
講義冒頭、秋山は,
「これから教える戦術は
将来通用しない」 と宣言。
居並ぶ将校の度肝を抜いた。
その発想は常人の域を超越していた。
◇ 秋山は、
「現時全盛の海軍は
無用の古物となって
空軍万能の時節ともなりましょう」
と断言。
「巡洋艦が空中を飛行し
戦闘艦が水中を潜航するに至ったと
想定すれば、
此時の戦場は平面的にあらずして
立体的であります」
「その時にあたり吾人が今研究せる
平面戦術が何の用をなしましょうか」
と言い放った。
◇ この天才児は日露戦争をやる前に、
太平洋戦争の様相をみてきたように語り、
警告した。
この講義を二人の優秀生、
大角岑生(おおすみみねお)と
山梨勝之進(やまなしかつのしん)
が聴いていた。
のちに大角が 海軍大臣。
一期下の山梨が 次官。
山梨のほうが秋山思想を
理解していた。
◇ 空軍全盛に向かう時代、
山梨は軍艦縮減の条約締結に奔走。
しかし人事権をもつ大角は、
ライバルの山梨らを予備役に編入。
秋山思想の後継者は絶えた。
その結果はいうまでもない。
米国に大敗。
海軍と日本は
「坂の下の泥沼」に堕ちた。
そして今なお日本は
この泥沼の中でもがいている。
<今日の名言>
「事件は会議室で起きているじゃない!
現場で起きているんだ」
踊る大捜査線
*現場で実際に見て確認して、
それからです。
今日一日の人生を大切に!