◇ 文政権は、「86世代」という
学生運動家上がりの猛者が、
大統領符秘書官の6割を占めている。
1960年代生まれで80年代の
高度経済成長の学生時代に、
「反資本主義」
「反軍事政権」
「反日米」 を連呼して、
火焔瓶を投げつけてきた人たちだ。
だから、国際感覚が
「1980年代」のままで止まっているのだ。
新たな米中冷戦開始という
歴史的事件を十分に咀嚼できずに、
生半可な80年代の知識の延長で
「親中朝・反日米」の立場を
踏襲してきた。
それが、韓国外交の障害となって
立ちはだかってきたのだろう。
◇ 中国からの「脅迫」と
米国の「圧力」に直面して、
自らの外交知識の不足に
直面していると見られる。
こうなると、「反日米」路線を
修正しなければならない。
行き詰まった対日外交をどう立て直すか。
「親日排除」という国内政治路線を
「反日」に結びつけるデメリットの
大きさを知ったに違いない。
近隣国・日本との関係見直しを
迫られているのだろう。
それが、外交路線変更の
ワンステップとなるのかも知れない。
◇ 先に、「証拠」をお見せすると
前置きしたが、
それは、韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)
大統領統一外交安保担当特別補佐官が、
私人(延世大学名誉特任教授)肩書きで
『ハンギョレ新聞』に寄稿した
注目すべき論文である。
それは、中国政治を
覇道 と批判したからだ。
◇ これまでの文特別補佐官は、
「親中朝・反日米」で一貫していた。
それが、大きくカーブを
右に切ったのである。
次のように指摘している。
中国は米国を凌駕する
道徳的リーダーシップで、
世界の人々の心をつかむことは
できるのだろうか。
◇THAAD(高高度防衛ミサイル)問題で
韓国に示した態度、
南シナ海での行動、
コロナ禍以降、
人口に膾炙(かいしゃ)する
「戦狼(せんろう)外交」など、
振り返ってみると、
中国の外交は王道ではなく、
覇道と強権に近いものに見える。
◇ 覇道 とは、
武力を用いる政治である。
孫文は、辛亥革命(1911年)を
行ったが、
彼の思想体系は『三民主義』に
示されている。
中国は、王道を求め
覇道を拒否する宣言した。
現在の中国は、孫文思想と
真逆の覇道政治である。
辛亥革命は、後の共産党革命に
乗っ取られて現在の中国になった。
文正仁氏は一時の戯れでなく、
本心でこの寄稿を書いたとしたら、
韓国外交のハンドルは、
「左」から「右」へ動いて
軌道修正が行われるだろう。
大統領府の「86世代」には、
眠れないほどの衝撃を与えたはずである。
あれだけ崇め奉ってきた中国が、
王道政治でなく覇道政治とすれば、
彼らのこれまでの「信念」は
コペルニクス的転回を要求される。
つづく
今日一日の人生を大切に!