◇ 秋の第2波の危険は
全世界的な問題だが、
日本には特に独自のリスク要因がある。
それは
「クラスター対策を当てにして
PCR検査の件数を絞り……その結果、
政策決定に必要な感染者数を
把握できなくなってしまった」
という深刻な事態である。
◇ 専門家会議の尾身茂=副座長が
参院予算委員会で正直に答弁したように、
「実際の感染者数は
10倍 か15倍 か 20倍 か
それは、誰にも分からない」
それは当然で、
感染しても潜伏期間が長く、
発症しなくてもその間に他人に
感染させてしまう可能性があるのが
今回のウイルスの大きな特徴のため、
検査を発症者や重症者に絞って
未発症者や軽症者を見逃せば、
たちまち感染経路は不明になってしまう。
◇ 専門家会議が、緊急事態宣言を
解除する判断の基準として、
「1週間の10万人当たりの
新規感染者数が0.5人以下」を示しているが、
そもそも何人を検査したら何人が陽性で、
その未発症、軽症、重症の割合は
どうなのかということを、
厚労省自体がまったく把握できていない
という状況では、
この「10万人当たり…」という数字は
ほとんど意味をなさない。
◇ そして最近言われいることに、
気になることがある。
今回、日本で流行っているのは
S型ウイルスで、
欧米で流行したL型ウイルスに比べて
病原性が低い。
それが日本で感染者数が
少ない理由の1つであり、
秋の第2波では、今までと違うL型が
入ってくる可能性があり、
そうなると1万人を超える死者が
出てもおかしくない。
◇ このような最悪事態を想定して、
すべての対策を「10月」へと
集結させてはじめて
東京五輪の実施が可能となるが、
政権も組織委もそんなことは
起きて欲しくないという
希望的観測にのみにすがりつく姿勢を、
ますます強めているように見える。
安倍首相もその辺の事情は
十分過ぎるぐらいわかっているはずであり、
「簡素化しての開催」と言いながら、
IOCと共に判断を先延ばしをしているが、
あとは、
どのタイミングで
五輪の中止を公表するか、
そのタイミングを図っているのであろう。
海外の新聞記事は、
次の言葉で結ばれている。
“Hope for the best
while preparing for the worst.”
完
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