◇ 新型コロナウイルスの
影響により学校休校が長引き、
新学期を9月にする案が
ここに来て現実味を帯びてきた。
先進国を中心に諸外国の多くは
9月入学であり、
実施できれば、国内と海外の
人材の移動がスムーズに行えるようになり、
人材育成や優秀な人材の確保という意味では、
世界標準に合わせるメリットは大きい。
今まで何度も変更の論議されてはきたが、
実現できなかった経緯があり、
今回はいい機会であるのは間違いないが、
実施には様々な課題がある。
◇ 政府は、「9月入学」に向けて
現在、30本超の法改正を検討している。
義務教育の年齢や教員の定年時期、
労働者の最低年齢など波及する分野で
法的な整合性がとれるようにするためだ。
◇ 小中高などの「4月入学」に
関する規定は法改正なしで変更できる。
学校教育法が入学時期を
明記していないためで、
同法の施行規則を変えるだけで済む。
国会での審議は必要ない。
大学は学長の裁量で入学時期を決められる。
◇ 学校教育法以外では
地方公務員法の改正が検討対象となる。
現行法は地方公務員である
教員らの定年退職日を、
「定年に達した日以後の
3月31日までの間において
条例で定める日」 と規定する。
9月入学に移行した場合、
改正しなければ学年の途中で
教員が定年を迎えて現場を離れることになる。
◇ そこで文科省は
21年からの導入を想定した案を示した。
(1) 1年で移行するために
最初の1学年だけ17カ月分の
子どもを対象とする。
(2) 5年間は生年月の範囲を
年に1カ月ずつずらしながら
13カ月分の子どもを対象にし
26年から12カ月分とする。
――の2パターンだった。
特定の学年の人数が増えるなど
両案とも課題がある。
政府は5月中にも論点を整理したうえで、
早期に方向性を決めたい模様だ。
短期間に解決しなければならない課題は、
たくさんあるが、
今回の機会を逃すと、
永久に変えることができないのも事実である。
安倍首相の政治判断に期待したい。
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