◇「山笑う」とは、
俳句における春の季語。
故郷やどちらを見ても山笑ふ 正岡子規
音たてて筑紫次郎や山笑ふ 熊本たろう
水底の石のゆらめき山笑ふ 長谷川櫂
筆取りてむかへば山の笑ひけり 蓼太
◇ もとは、中国の王朝である
北宋の時代の画家・郭熙(かくき)
の言葉だ。
春になると、木々が芽吹き、
山全体が徐々に明るい様子に
なることをいう。
山に生息する様々な動植物は、
春になるといきいきと活動を始める。
一斉に花を咲かせ、鳥たちもさえずる。
静まり返っていた冬の山に比べ、
明るくのどかな雰囲気に包まれる。
したがって、
山が笑っているように見えたのであろう。
ちなみに、夏の場合は、
「山滴る(したたる)」となる。
◇ 春は人にとっても、
環境が変化する季節だ。
入学や就職などで環境が
変わるだけではなく、
新しい出会いもあるだろう。
新年度を迎え、
別の部署に異動する人も
いるかもしれない。
人は、慣れない環境において、
過度に緊張してしまうことがある。
そうした時には、
口角を上げることを意識してみよう。
花を愛でたり、
空を仰いで深呼吸したりして、
心を落ち着かせることも必要だ。
山に少しずつ新芽が吹くように、
明るい挨拶から始めれば、
「人笑う」暖かい春が訪れるはずだ。
今日一日の人生を大切に!