◇ 北朝鮮は現在、
大きな変化は見られないが、
水面下で粛々と協議が進んでいる。
オブライエン米大統領補佐官は、
米政府が北朝鮮に協議再開を
打診したことを明らかにした。
◇ オブライエン氏は、
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、
かねて警告していた
「クリスマス・プレゼント」を
実行していないのは「前向きな兆候」とし、
そのうえで、
「協議を再び軌道に乗せたいという意向を、
さまざまなルートを通じて打診している」
と表明した。
しかし、米国家安全保障会議(NSC)は
明確なメッセージを出していない。
交渉が難航していることの証左に他ならない。
◇ 米軍によるイラン革命防衛隊
コッズ部隊のソレイマニ司令官殺害で、
北朝鮮は改めて米国の脅威を
見せつけられた格好になる。
イランが手を出せなくなったことが
明確になった今、
北朝鮮が非核化交渉で
強硬姿勢を取ることが難しくなっている。
◇ 金正恩朝鮮労働党委員長は
昨年末の党中央委員会総会で、
「約束に一方的に縛られる
根拠はなくなった」 とし、
核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)
発射の再開を示唆し、
制裁解除に応じない米国に
軍事挑発をちらつかせている。
そして、3月2日、9日と
飛しょう体を発射した。
しかし、内心はそうとうびくびくしながら
発射していることだけは確かだ。
◇ イランと北朝鮮の違いは、
トップ同士が直接会って
話をしたことがあるかどうかにある。
この点では、金委員長はイラン指導部ほど
現状にびくついているわけではない。
しかし、それでも不安になるのは
当然といえる。
北朝鮮国営メディアは金委員長の動静を
伝えていない。
それだけ、北朝鮮側に緊張感が
あるということだろう。
◇ 米韓両軍は核攻撃を阻止するため、
金委員長を含む北朝鮮指導部の
排除を目指す「斬首作戦」の
訓練を重ねているとされている。
金委員長との良好な関係を
誇示するトランプ大統領だが、
かつては北朝鮮がミサイル発射に踏み切れば
「炎と怒りに直面する」と警告していた。
米国のイランへの対応を見た金委員長が
慎重な態度に出ざるを得ないのも当然だ。
◇ 北朝鮮は中国・ロシアとの
関係を維持しつつ、
両天秤に掛けながら
米国にゆさぶりをかけている。
米大統領選挙が、
今年11月3日に控えている。
ここに向けて、
外交成果をどのように出していくのか。
しかし、いずれ北朝鮮問題は
大統領選前に一定の結論を
出すのではなかろうか。
それまで、金委員長はイライラ
させられることになりそうだ。
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