◇ 国防総省の報告書では、
こうした結果から見て、
ファーウェイを中心とした
中国の「sub-6」は、
世界市場を制覇することになるのは
目に見えているという。
それというのも、
コストが高く電波の届く範囲が狭い
「mmWave」では、
よほどの人口密集地で相当な契約者数が
期待できる環境ではない限り、
採算ラインに乗らないからだ。
アメリカではそのような環境の
大都市圏は比較的に少ない。
一方電波の届く範囲の広い
「sub-6」では、
ひとつのアンテナがカバーするエリアで
獲得できる契約者数が多いので、
容易に採算ラインに乗る。
また既存の3Gと4Gの
アンテナが使えることも、
設置費用を引き下げることができる
大きな利点になる。
◇ 報告書では、「mmWave」と
「sub-6」のこのような違いは、
5Gの部品メーカにも
大きな違いをもたらすという。
採算ラインに乗りにくい
「mmWave」のネットワークでは、
設置に意欲的なキャリアは
どうしても少なくなる。
その結果、「mmWave」用の部品も
量産体制に乗りにくいので、
コストを引き下げることが難しくなるのだ。
一方、既存のアンテナが使える
「sub-6」ではこの逆のパターンだ。
「sub-6」の低廉なネットワークの
拡大が期待できるので、
専用パーツの需要は大きい。
そのため、早期に量産体制に入るので、
パーツのコストもかなり安くなる。
すると、「sub-6」のネットワークの
設置費用はさらに低下し、
「sub-6」は一層拡大する。
まさに正の循環だ。
◇ このように見ると、
中国のファーウェイが中心となって、
開発が進められている「sub-6」が
これからグローバルスタンダードとなり、
世界を制覇する可能性が高い。
◇「mmWave」の速度は
少し速いかもしれないが、
不利な点があまりに多く、
5Gのネットワークとして
拡大するとは到底思われない。
いっそのこと、アメリカも
「mmWave」を捨てて、
はるかにコストが安く、
カバーできるエリアがはるかに広い
「sub-6」に移行したほうが
よいのではないだろうか?
しかし、アメリカにはこの移行が
実質的に不可能な事情がある。
それは、すでに米軍が「sub-6」を
高速通信のために独占的に使用しており、
この帯域を民間に開放すると、
相互の通信が干渉してしまい、
軍事通信やデータの転送に
支障が出てしまうからだという。
こうした干渉が起こらないように
別の帯域を開発し、
それに移行することも考えられるが、
それには少なくとも10年はかかるという。
このような状況から、
米国内では民間の5Gはどうしても
「mmWave」でなければならない。
つづく
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