Categories: 一般教養・雑学

ロウソクの科学」は科学を超えた啓発の書 vol.664

 

◇ 本日ご紹介する一冊は、

    ノーベル化学賞の受賞した吉野彰氏が、

 

「化学への興味の原点」として挙げて

  話題となった書『ロウソクの科学』

 

 

ベンゼンや電磁誘導を発見、

電解物質における「ファラデーの法則」

で知られるイギリスの科学者、

マイケル・ファラデーによる化学講義で、

 

その内容は感動的と言ってもよい。

 

◇ ロンドンの貧しい鍛冶屋の家に生まれ、

    歴史に名を残したファラデーが、

 

   1本のロウソクを用いて子どもたちに

   科学の面白さ、責任、科学的思考を説き、

    彼らを未来へいざなう。

 

◇ 1861年のクリスマス休暇に、

    ロンドン王立研究所で催された

    連続六回の講演記録がもとになっているが、

 

この講演は当時、ファラデーの

話術と名声によって評判を呼び、

 

ロンドンのあらゆる階層を

夢中にさせたようだ。

 

シンプルかつユーモラスな説明で、

科学の意義や危険性、貧困問題や

環境問題の本質的意味までが説かれており、

 

子どもたちには

ぜひ読ませておきたい内容だ。

 

◇ 人を育てるものは、究極、

    志や社会への責任感だと思うが、

 

ファラデーは本書で、

まさにこの志と責任感を教えている。

 

表面上は科学の本であるが、

中身の実体は、子どもたちに向けた、

啓発の書となっている。

 

大人でも、胸に熱いものが

    こみ上げてくるため、

 

これを読んだ子どもたちは、

いかに大きな志を持つだろうと、

思わざるを得ない。

 

まずは公演の内容を紹介する。

———————————————–

ダイヤモンドの夜の光輝は、

それをてらす炎のおかげでしかありません。

炎こそは、闇に光をはなつものであります。

しかし、ダイヤモンドの光は、

炎にてらされて輝くまでは、

何ものでもありません。

ロウソクは、ひとりで

みずからのために輝やき、

また、ロウソクをつくった人のために

輝やくのであります

(中略)

すべてのものは、おそかれ早かれ、

まちがいなく終わりにくるものではありますが、

この講演の終わりにあたりまして、

私が皆さんに申しあげることのできるすべては、

皆さんが皆さんの時代がきたとき、

一本のロウソクにたとえられるのに

ふさわしい人となっていただきたいということ、

そしてまた、皆さんが、ロウソクのように

皆さんのまわりの人びとに対して光となって

輝やいていただきたいということ、

皆さんのあらゆる活動の中で皆さんが、

皆さんとともに生きる人類に対する義務を

果たすことにおいて、

皆さんの行為を光栄あり、

かつ効果あらしめることによって、

ロウソクの美を正当化していただきたい

ということの希望であります。

———————————————–

◇ ファラデーの子どもたちへの

    温かい目線、

 

次世代に叡智をつなごうとする

真摯な姿勢に胸を打たれる。

 

子供だけでなく、

大人にもぜひ読んでほしい。

 

今日一日の人生を大切に!

トンビ博士

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