◇ 50年前の1969年7月20日、
ニール・アームストロングと
バズ・オルドリンが月面に着陸した。
この月探検までの数ヶ月間、
アポロ11号の宇宙飛行士たちは、
アメリカ西部にある月に似た環境の、
辺境の砂漠で訓練を受けた。
◇ その地域には、
昔からいくつかのアメリカ先住民の
コミュニティがあった。
そして、宇宙飛行士たちと先住民の
こんな出会いの物語が生まれた。
◇ ある日の訓練中、
宇宙飛行士たちはアメリカ先住民の
老人に出会った。
老人は彼らに、
「ここで何をしているのか」 尋ねた。
宇宙飛行士たちは、
「近々月探査の旅にでる探検隊だ 」と答えた。
それを聞いた老人はしばらく黙り込み、
それから宇宙飛行士に向かって、
「お願いがあるのだが」と切り出した。
「何でしょう」 と彼らは尋ねた。
「うん、私らの部族の者は
月には聖霊が棲むと信じている。
私らから大切なメッセージを
伝えてもらえないだろうか」
と老人は言った。
「どんなメッセージですか?」
老人は部族の言葉で何かを言い、
宇宙飛行士たちが正確に暗記するまで、
何度も繰り返させた。
「どういう意味があるのですか?」
「ああ、それは言えないな。
私らの部族と月の聖霊だけが
知ることが許された秘密だから」
◇ 宇宙飛行士たちは基地に戻ると、
その部族の言葉を話せる人を
探しに探して、
ついに見つけ出し、
その秘密のメッセージを訳すように頼んだ。
暗記していた言葉を復唱すると、
訳を頼まれた者は腹を抱えて笑いだした。
ようやく笑いが収まったとき、
宇宙飛行士たちは、
どういう意味なのかと尋ねた。
彼によれば、宇宙飛行士たちが
間違えないように苦心して暗記した
一節の意味は次のようなものだった。
「この者たちの言うことは
一言も信じてはいけません。
あなた方の土地を盗むために
やって来たのです。」
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