◇ 2018年11月に突如逮捕された
カルロス・ゴーン氏。
倒産寸前の日産自動車を再建し、
カリスマ経営者として脚光を浴びた男は
一夜にして転落した。
「公私混同」「強欲」「収奪」…。
集中砲火を浴び、会社を私物化して
日産に損害を与えたという
「特別背任」などの罪に問われている。
今や、その存在が
“全否定” されたかに見えるゴーン氏。
その正体は何者だったのか。
◇ 1999年3月の日産とルノーの提携が
事実上決まった会議では、
「当日の会談の9割方は、
ゴーン氏の報酬が議題だった」
ストックオプションを
報酬に組み込まないと
日本に行かないとしていた。
さらにゴーン氏は、日産入り前のフランスで、
「日産の競争力を復活させることができたら、
ルノーと合併させて、『ルノー日産』に
することは容易になる」 と発言。
当初から合併を視野に入れていた。
◇ 一方で、ゴーン氏が日産の
V字回復で見せた手腕は
実に鮮やかだった。
来日後すぐに多数の
現場の管理職や社員と対話。
生の声を吸い上げてプランを練り、
有能な人材を引き上げ、組織を変えて、
成果を生んだ。
ゴーン流の再生手法は、
今も色あせず、
経営に関心を持つ
あらゆるビジネスパーソン
にとって示唆に富んでいた。
◇ いかにして絶対権力を握ったのか?
ゴーン氏が絶対権力者になったのは、
実は必然ではなかった。
1999年の提携時の契約では、
「CEOとCFOは日産が決め、
COOはルノーから出す」
ことになっていた。
だが、COOになったゴーン氏の手腕に
日本人の経営陣は感嘆。
リストラやコスト削減で生じる
反発の矢面に立つCEOにゴーン氏を就けた。
日産の日本人経営陣は
自らの手で会社を改革するよりも、
カリスマに「依存する」道を選んだことが、
ゴーン氏が皇帝のように君臨する道を開いた。
◇ ではなぜ転落したのか?
仏政府がルノーと日産の
経営統合を迫る中、
2018年、ゴーン氏は,
「アライアンスを取り消せない、
不可逆的なものにする」と発言。
経営統合に関しては
「日本政府や仏政府の合意が必要」
としていたが、
「統合圧力が高まっている」と
日産関係者に受け取られかねないものだった。
こうした背景を知ることは、
ゴーン氏逮捕を理解するうえで有益だ。
今後、どう展開するのか、
まったく予測がつかない。
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