◇ 先日、仕事仲間の友人と
居酒屋で飲んでいると、
隣で飲んでいるサラリーマンの
グループからこんなセリフが聞こえてきた。
「あーあ、いつまでこんな
“クソつまらない仕事”
を続けなきゃなんないんですかね?」
「ホント、ホント。やってらんないね。
でも辞めるほどの能力もないしな。
生きているのが馬鹿らしくなってくるよな」
そんなやるせない会話が続いた。
近くの大手メーカーの中堅社員らしい。
すると50歳くらいの先輩らしき男性が言った。
「そんなもんだよ、サラリーマンってのはさ。
ちゃんと空気を読んで渡っていきゃ、
なんとかなるんだから。今はガマン、ガマン。
Yさんの退職金知ってるか?
やっぱり、なんだかんだ言っても
すごいんだようちの会社。
まあ、難しいこと考えないで、
頑張れや。さあ、飲も飲も」
◇ トンビも30年前に
同じように諭された記憶がよみがえる。
違う仕事をしたいとトンビが考えている時、
やはり50代の上司が言ったのだ。
「うちの会社はなあ、
歳とればとるほどおいしい会社なんだよ。
今はきつくてもさ、
我慢さえしていれば
後で笑うことになるんだよ」
◇ 2018年の世界幸福度ランキングで
日本は156ヵ国中54位。
G7はもちろん、
G10の中でも断トツ最下位だ。
そして、ギャラップ社による従業員の
エンゲージメント調査では、
(仕事への熱意度)
139ヵ国中132位という結果だった。
日本人は長時間労働はするが、
世界で最も仕事に熱意がなく、
そして最も不幸だといういうことなのか?
◇ G10トップの自殺率、
そして「過労死」「孤独死」といった
日本ならではのキーワードを考えると、
否定はできない。
だが、居酒屋の先輩が言ったように
「ガマン」をしていれば、
いつか幸せになれるのか?
トンビは結局考えた挙句に
その会社を辞めたのだが・・・
◇ 心理学者ショーン・エイカー博士の
研究によると、
人には
「成功して幸せになるのではなく、
幸せを感じられる人が成功する」
という傾向があるらしい。
つまり、いつか成功しようと
我慢・努力を続けてもそれはかなわず、
今の仕事を楽しみ、
そこに幸福を見出せる人が
成功するということである。
バブル期以前の退職後の好待遇や
60歳からもらえる年金
というのはもう昔の話。
そして今は 「人生100年時代」
放っておけば、「つまらない仕事」は
まだ何十年も続く。
トンビはこの「つまらない仕事」を
「人工無能仕事」(AI)と名付けた。
残念ながら先輩のアドバイスは
時代遅れだ。
いまの日本の現状を理解してない。
◇ 日本人は「働きバチ」だと揶揄されて以来、
週休2日制、週40時間労働の徹底、
そして近年の「働き方改革」など、
労働環境についての努力は
続けてきたように見える。
しかし、居酒屋の愚痴や
朝の満員電車の中の表情を見ても、
いまだに多くのサラリーマンは
イキイキと仕事を
楽しんでいるようには見えない。
近年ささやかれている、
国際的競争力を失いつつある
日本のビジネス、
そして超高齢化社会などは、
我々の不安をさらにあおってくる。
日本のサラリーマンの未来は、
AIすら馬鹿らしくてやらないような
「クソつまらない仕事」を延々と続け、
(人工無能仕事)
毎日居酒屋で嘆いている、
そんなSFホラー映画顔負けの
恐ろしい様相を見せることに
なるのだろうか?
手遅れになる前に
何とか手を打たなければ。
つづく
今日一日の人生を大切に!