◇ 政府は今月初旬、自動運転車の公道走行を
可能にするための道路交通法の改正案と、
安全対策のための仕組み作りを盛り込んだ
道路運送車両法の改正案を閣議決定した。
◇ 次世代の有望技術である自動運転は
自動車やIT(情報技術)各社が
技術開発にしのぎを削っている。
利用する際の具体的なルールが決まることで、
普及に向けた環境整備が前進する。
道交法の改正案は一定の条件で
システムが運転を担い、
緊急時にはドライバーが操作する
「レベル3」の自動運転が対象だ。
今国会での成立をめざす。
◇ 道交法は運転中のスマートフォン操作や
カーナビゲーションの画面注視を禁じている。
改正案はこの規定を自動運転には
適用しないことが柱だ。
緊急時に手動運転に代われることを前提に、
スマホ操作などの「ながら運転」を容認する。
ドライバーにはこれまで同様、
交通ルールを守るといった
「安全運転義務」が課せられ、飲酒は禁止。
睡眠や飲食、読書は
明確な法律上の規定はないが、
警察庁は「睡眠は認められない」とする。
飲食などはグレーゾーンで
事故時にドライバーが
安全運転義務違反を問われる可能性がある。
事故の発生時には操作ミスなのか、
システムの不具合なのかを調べる必要がある。
改正案では車両に備えた装置で
作動状態を記録し、
データを保存することを義務付けた。
整備不良が疑われるときは、
警察官がデータの提供を
求めることができることも明記した。
◇ 今回の改正により「レベル3」の
自動運転での公道走行が可能になる。
一定条件下での完全自動運転の「レベル4」や、
完全自動運転の「レベル5」の
実用化にはさらに法改正が必要になる。
◇ 道交法の改正と合わせて、
自動運転の法整備で道交法と
両輪とされる道路運送車両法の
改正案も閣議決定した。
同法は自動車の安全基準などを定めるが、
自動運転を想定していない。
整備やリコール(回収・修理)などで
自動運転を踏まえた仕組みに
改める必要があった。
◇ 代表例がソフトウエアの配信による
自動車の性能変更。
今回の改正案では性能に大きく関わる
プログラム変更について、
配信内容の安全性を国が事前に
チェックする仕組みの創設を盛り込んだ。
また自動運転車の走行を認める道路環境や
制限速度といった条件を車種ごとに設定する。
◇ 政府は2020年をめどに
「レベル3」と呼ばれる技術の
実用化を目指している。
法整備以外では、自動運転で
事故が発生したときの責任の決め方や
保険の仕組み、サイバー攻撃への
対策なども課題となる。
自動運転の普及が進めば
人の運転ミスによる事故を抑制でき、
バスやタクシーなどの
運転手不足の緩和につながる可能性もある。
欧米や中国など世界中の企業が
開発にしのぎを削っている。
日本も自動車メーカーなどが
開発を加速しており、
日本が世界のリーダシップを取るためにも、
普及に向けた環境整備が急務である。
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