◇ 台湾は、蔡政権になって確実に変わっている。
議会では「中華台北」という名称についての
議論が公になされるようになった。
また、最近のニュースでは、
米映画評論サイトがアジア・中国で
最も美しい顔を選ぶ投票イベントで、
台湾出身の有名人の国籍を示すアイコンに
中国の五星紅旗が表示されたことで、
台湾の外交部が同サイトに訂正を求めた。
ひと昔前の台湾だったら、
そこに「五星紅旗」が表示されても
何も言わないどころか、
疑問にも思わなかったかもしれない。
それが、今では抗議をするまでになった。
◇ こうした、台湾が台湾としての存在を
アピールする地道な活動が
国際的に認知されると同時に、
正月の習近平による
「台湾への武力行使も辞さない」
というスピーチに危機感を覚えた欧州議会は、
台湾を支援するとの内容の声明文と、
議員155名の署名を、蔡英文総統に渡した。
蔡政権はまたひとつ心強い
後ろ盾を得たことになる。
◇ 2020年の総統選挙だが、
国民党はまだ候補者を絞れていないようで、
党内調整にまだ少し時間がかかりそうだ。
蔡英文総統は、2018年11月の
「九合一」地方選挙で惨敗した後、
党主席を辞任し、
支持率は10%台まで下落したことから、
2020年の総統選挙はかなり厳しいとみられ、
彭明敏や李遠哲ら台独派の長老たちに
再出馬を止められていた。
しかし、正月の習近平の演説が
その状況を劇的に変えた。
習近平は、
台湾に「一国二制度」、「武力行使」を
放棄しないと脅しをかけ、
蔡英文はすぐさまそれに対して反論した。
このことが蔡英文の支持率を
30%台まで引き上げた。
米中経済貿易戦争で
追い込まれた習近平は、
台湾を脅したつもりが、
敵に塩を送る結果となったわけだ。
◇ 2020年の国政選挙は、
今の台湾にとって最大の課題だ。
台湾人にとっては、
「国家」を選ぶ真剣な選択となる。
2018年の「九合一」選挙では
民進党が大敗し、
予想外に国民党が躍進した。
中国は、この勢いに乗って
台湾を併合したいとの焦りがあったから、
正月の習近平のスピーチが
あったのではなかろうか。
◇ 日米も、2020年の国政選挙の行方を
見守っているはずだ。
目下昂進中の米中経済貿易戦争の動向も、
2020年の選挙に関わる大きな外因となる。
チベット、ウイグル、香港の実例も、
台湾に対する影響は極めて大きく、
中国の台湾に対する恫喝は
どこまで台湾の存在に影響を及ぼすのか、
世界も注視している。
2020年の選挙は、
人類史にとっても世紀の選択となる。
完
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