◇ 日ロ両政府は1956年に
日本と当時のソ連が結んだ日ソ共同宣言を
基礎として交渉を進めている。
これは2018年11月に首相と
プーチン氏が会談した際の合意した内容だ。
◇ では56年宣言の内容は次の通りである。
「ソ連は、日本の要望にこたえ
かつ日本の利益を考慮して、
歯舞群島及び色丹島を日本に
引き渡すことに同意する。
ただし、これらの諸島は、
日本とソ連との間の平和条約が
締結された後に現実に引き渡される」
と記している。
◇ 発端は第2次世界大戦末期の1945年に遡る。
米英ソ3カ国で締結したヤルタ協定に
基づいて対日参戦し、
北方領土を占領した。
ここでの北方領土は
歯舞群島、色丹島、
国後島、択捉島 の島々を指す。
◇ ソ連と中立条約を結んでいた
日本からすればこれは条約違反であり、
いまもロシアの不法占拠が
続いているとの立場になる。
ロシアは第2次世界大戦の結果、
合法的に領土になったと主張している。
◇ また56年宣言の「引き渡す」という
表現の解釈も異なる。
日本にとっては主権の確定だが、
プーチン氏はこれまで主権が
どこに属するのかは記されていないと
指摘している。
56年宣言は国後島と択捉島の
扱いを記していない。
4島の帰属問題を解決して
平和条約を締結するというのが、
従来の日本政府の基本方針だ。
◇ 56年宣言を基礎にした交渉も
その整合性が問われる。
56年宣言のあと、
60年に日米安保条約が締結された。
ロシア側は領土引き渡し後、
日米安保条約に基づいて
在日米軍が展開される可能性を懸念している。
◇ 今回の首脳会談後の共同記者発表で
両首脳は経済協力や人的交流の
拡大などを強調し、
「互いに受け入れ可能な解決策をめざす」
と繰り返した。
しかし、両国に横たわるこれらの懸案が
解消したわけではなく、
平和条約締結へのハードルは
まだまだ高いと言える。
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