◇ どのリーダーが「有害」で
誰がそうでないのか?
世の中には、
人々を幸福な結果に導くリーダーと、
一時的には人々の心を鷲掴みにして
熱狂させても、
求めていたような結果が出せない。
場合によっては当初より悪い状態に
してしまうリーダーもいる。
だが、それ以上に深刻なのは、
「大衆の心を支配し、その人たち自身が
生産的に行動する活力を奪う」ことだ。
◇ 有害なリーダーは、
「耳触りの良い言葉」で
私たちに語りかけてくる。
「悪いのはあいつらだ」
「私を支持してくれれば、生活を良くする」
「こうすれば、あなたの不安はなくなるだろう」
……といった具合だ。
不安と恐怖を感じる人ほど、
その魅惑の虜になり、
理性的というより感情的にリーダーを頼り、
従うことになる。
すなわち、独裁的で有害なリーダーを
生み出しているのは、
他でもない私たち自身でもある。
政治でも企業でも、それは同様だ。
◇「Populist (ポピュリズム政治家) 」
の反対語は、
「Statesman(公正な政治家)」
だと言われる。
「Statesman」は、
ポピュリズム政治家と違い、
大衆自身にも、自助努力によって
自己変革することを求める。
◇ ケネディの有名な言葉に、
“Ask not what your country can do for you;
ask what you can do for your country.”
「国があなたのために
何をしてくれるのかを問うのではなく、
あなたが国のために
何を成すことができるのかを問うて欲しい。」
(第35代アメリカ合衆国大統領
John F. Kennedy ジョン・F・ケネディ)
公正な政治家は、耳触りの悪いことでも
国民に率直に伝え、
痛みを伴う自己変革のエネルギーを
引き出す努力をするのである。
◇ 昨今頻繁に言われる「ポピュリズム」が、
そのまま「民主主義」を阻害する
というわけではない。
その国の状況や、
ポピュリズムという手法が
使われる意図、目的による。
抑圧的な政治体制を打破するために、
ポピュリズムという方法が
正当に活用された場合も当然ある。
したがって、
「ポピュリズム」そのものが悪い、
ということではない。
その手法が「結果」として
どのような影響を人々に及ぼすか、
を冷静に判断する必要がある。
◇ そのような観点から見ても、
今日、世界各地で起きている
「ポピュリズム政治」によって、
民主主義的な話し合い、相互理解、
対話の自由が奪われていることは間違いない。
特定のリーダーの思想や影響力に
支配された民衆が、
人種や価値観が異なる相手に
容赦なく憎悪を剥き出しにしていく。
これは「民主主義」よりも
「全体主義」を彷彿とさせる。
様々な価値観を受け入れながら、
考え方が異なる人とも対話する姿勢を
持ち続ける民主主義の精神とは真逆だ。
つづく
今日一日の人生を大切に!