◇ モビリティ改革を英語表記すると
「Mobility as a Service」
略して「MaaS 」という。
本来「Mobility」とは
移動性、機動性のことをいい、
カーシェアや鉄道、バス、タクシーといった、
あらゆる交通サービスを統合し、
移動の効率化を目指すサービスを
「MaaS」と呼ぶ。
◇ この概念を最初に提唱し、
「生みの親」と呼ばれるのが、
フィンランドのベンチャー企業、
MaaSグローバルの創設者である
Sampo Hietanen氏だ。
◇ 2018年1月、米家電見本市のCESで
トヨタ自動車の豊田章男社長は、
クルマを製造する会社から
モビリティサービスを提供する
会社への転身を宣言。
これにより、「MaaS 」という言葉が、
日本でも一般に広く知られるようになった。
そしてトヨタとソフトバンクとの
今回の移動サービス事業での提携も
この一連の流れになる。
トヨタは総合的なサービス企業への
シフトを目指している。
ソフトバンクは世界の主要な
配車サービス大手に出資している。
両社の提携を機に自動車の
新技術・サービスを巡る
合従連衡が激しくなるのは必至だ。
◇ 「MaaS 」がもたらす価値としては、
クルマの範囲にとどまらず、
鉄道やバス、タクシーといった
移動サービス全般が連携することで、
あらゆる移動を効率化し、
都市計画にすら影響を及ぼすこと
まで想定されている。
将来の社会に、よりダイナミックな
変化をもたらす概念だ。
その源流となるのが、
フィンランドに拠点を構える
ベンチャー企業、MaaS グローバルだ。
同社の創設者であるSampo Hietanen氏は、
「MaaS」という概念の「生みの親」
として知られる存在。
自社開発したスマホアプリ
「Whim(ウィム)」では、
鉄道やバス、タクシーなどの
公共交通機関を複数組み合わせて、
予約から決済まで可能にしている。
欧州を中心に「MaaS」に関する法整備の
ガイドラインの策定などを進める
「MaaSアライアンス」の理事も務めており、
17年には、トヨタファイナンシャルサービスや、
あいおいニッセイ同和損保、デンソーが相次いで出資。
世界中のモビリティ業界関係者が
注目する人物の一人だ。
◇ モビリティは社会に
どんな変化をもたらすのか。
「MaaS」が目標としていることは、
モビリティサービスを組み合わせて、
クルマを保有する生活よりも、
より良い生活を実現する
サービスを作り出すこと。
クルマの保有コストが高い東京で、
あえて自家用車を購入する理由は、
いつでもどこへでも行けるからだ。
「MaaS」のアイデアは、あらゆる移動に関わる
モビリティサービスをうまく活用し、
クルマを保有することで得られる自由を
超えようとする、とても大きなものだ。
つづく
今日一日の人生を大切に!