◇7月初旬に認知症新薬の臨床試験で
有効性を確認したと発表。
それ以降、株価の上昇率は4割を超え、
完全に水準を切り上げた。
先進国を中心とした高齢化で
需要増が確実な認知症の分野。
投資家の期待はかつてなく高まっている。
「予想外の成果。本当に驚きました」
治験結果を受け、
多くの担当アナリストは口をそろえた。
取引開始前に発表すると、
株価は2営業日連続でストップ高に。
時価総額はわずか1週間で
約9400億円も増えた。
◇ 新薬1つにそれだけの
“値札”がついたとも解釈できる。
エーザイが効果を確認したのは、
米バイオ医薬大手バイオジェンと
共同で開発している
アルツハイマー病治療薬「BAN2401」
通常3段階ある治験のうち、
比較的少数の患者を対象に有効性などを
確かめる第2相治験を完了した。
治験18カ月時点の最終結果で
「統計学的に有意な症状の進行抑制があった」
という。
かつてエーザイの収益を支えた
認知症薬「アリセプト」と比べ、
より長期間にわたり進行を抑制する。
なぜ、エーザイにこれほどの注目が集まるのか。
今回の治験では、認知症の原因物質とみられる
たんぱく質「アミロイドベータ(Aβ)」が
脳内で減ることを確認した。
Aβは脳に蓄積すると
神経細胞が機能障害を起こし、
細胞死をもたらすとされる。
しかし近年は名だたる海外大手の
治験失敗が相次ぎ、Aβ仮説そのものを
疑問視する向きも出ていた。
それだけにエーザイが共同開発する新薬の
成果の衝撃は大きかったというわけだ。
◇ 認知症の患者は国内だけで
2025年に 700万人 を突破する見通し。
世界の認知症薬関連の市場規模は
4000億円程度とされるが、
エーザイは20年以降に1兆円規模まで
拡大すると予想する。
エーザイはバイオジェンとAβを
標的にした新薬を3品目開発中だ。
製薬ビジネスは年間売上高が
1000億円を上回る大型新薬を
生み出せるかが業績を大きく左右する。
世界の高齢化が急速に進むなか
「開発品の1つでも当たれば4000億円規模の
収益貢献が見込めるのではないか」
との声もある。
認知症分野の研究開発費はかさむが、
エーザイの19年3月期の連結純利益は
最高になる見込みだ。
創薬の世界は日進月歩。
ガンはしょうがないしても、
認知症だけは避けたいと
トンビは思う。
実用化に向けてエーザイが
着実に成果を積み重ねられるかが
今後のカギになる。
今日一日の人生を大切に!