◇ 一時期より薄れたとはいえ、
未だ大きなな影響力を持つ経団連。
もちろんマスコミも経団連の
動きに注目しているはずだが、
先日、日経新聞に同団体を否定的に
扱う記事が掲載され話題となった。
経団連の存在意義も徐々に
薄れるだろうとしながらも、
新陳代謝に時間がかかるのも
日本の特徴であり、
それが「失われた20年」をいつまでも
長引かせていると批判している。
◇ その記事のタイトルは
「経団連、この恐るべき同質集団」
経団連の副会長18人の経歴を調べると、
・ 全員男性
・全員日本人
・一番若くて62歳
・全員サラリーマン経営者(起業経験なし)
・だれ一人転職経験がない
という異様なまでに
「同質な集団」
であるという指摘だ。
男女同権で、企業の新陳代謝も激しく、
転職の多い米国の常識で言えば、
「全く理解できない」状況だが、
日本人にとって見れば、
「やっぱりね」
「昭和の時代のおっさん集団か」と、
それほどの驚きではない。
重要なのは、これまで経団連と良い関係を
維持してきたメディアが
「この恐るべき」という
形容詞まで使って、これを批判してきた点だ。
ようやく、日本でも「潮目が変わって来た」
兆候なのかと、ついついトンビは期待してしまう。
◇ ちなみに、注目すべきは
日本の「失われた20年」が
今なお継続中であり、
今や「失われた30年」に
なろうとしている点である。
その一番の理由は、
日本社会全体のあらゆるところに、
戦後の高度成長期に作られた
システムが張り巡らせており、
90年代から始まったパソコン、
インターネット、スマホなどの
「IT革命」に乗り遅れてしまっているからだと、
トンビは見ている。
◇ 終身雇用制、年功序列、新卒一括採用、
稟議書などは「時代遅れなシステム」として
会社によっては改革が進んでいるところもある。
しかし、役員用のお抱え運転手、
ゴルフ会員権、退職後の天下り先、
社長の部下で構成される取締役会となると、
それは
「長年一つの会社で一生懸命
働いてきた人たちの大事な既得権益」
であり、
そこに自ら手をつけることが出来る人たちは、
ほとんどいない。
経団連の副会長ともなれば、
誰もが会社の重役であり、
まさにその手のシステムのメリットを
享受している人たちなのだ。
彼らの考え方が、保守的で、
閉鎖的なのも当然だ。
日本にも、ソフトバンク、
ファーストリテイリング(ユニクロ)、楽天
のような時代の流れに乗るのが上手で、
創業者が元気な会社があるので、
彼らが経団連をコントロールするようになれば、
大きく変わることは間違いないが、
「経団連の閉鎖性」がそれを許さないのだ。
◇楽天の三木谷氏が経団連を辞めたのは2011年。
当時のインタビューで
「正直言って、経団連は日本企業の
護送船団方式を擁護し、
これが世の中の共通認識だと
カムフラージュするために
作られた団体なんですね、そもそもが」
と強烈に批判している。
◇ 長い目では経団連の存在意義も
徐々に薄れるだろうが、
その手の新陳代謝に時間が
かかるのも日本社会の特徴だ。
いったん作ったシステムは
内部からは変えられない。
そして、その新陳代謝の遅れが、
喪失感をいつまでも長引かせている
原因になってしまっている。
このまま時代遅れの体質を変えられずに
「失われた40年」に
ならなければいいのだが。
今日一日の人生を大切に!