◇ 福岡氏のインタビューは、つぎの一文が続く。
同時に、今回のエリート組の瓦解の遠因に、
私を含めたこの世代特有の弱さの存在を感じます。
60年代の政治の季節に遅れ、
70年代には学校のサヨク的な先生の授業に白けつつ、
80年代に入るとポストモダン的自由を謳歌し、
時代の先端を走っているつもりでした。
ところが、結局、戦後民主主義の精神を
次の世代にうまく継承できず、
子どもたちに伝える成熟した文化も、
つくり得なかったのです。
詰まるところ、
このまま進めば
日本は滅びるしかないということです。
◇ 日本が問題を克服していく道筋もあるだろが、
いまの日本人に実行できるかどうかは、
まだまだ疑問だ。
悪いのは官僚機構ばかりではない。
大学やアカデミズムや
シンクタンクの世界でも、
学問の自由や研究助成の公募などの
仕組みは形骸化しており、
新しい血が加わる余地は極めて限られている。
これでは活力など生まれようもなく、
そこにあるのは内輪ボメと自己満足と自己過信…。
しかし道がないわけではない。
例えば大学の活性化。
◇ 元衆議院議員の岸本周平氏は
プリンストン大学大学院の教員
として2年間を過ごした。
そのときの経験は『中年英語組』(集英社新書)
として出版されているが、その中の一節に、
プリンストン大学の大学院が入学者を
「1校1人」に絞っていることが紹介されている。
例外として、ハーバード大学など
トップレベルの大学からの複数入学は
認められているものの、
原則として「1校1人」
それも「最優秀」でないと受付けないという。
そうなると学生側も頭を使う。
有名校で1番になるのは至難の業であるから、
わざわざ1番になりやすいレベルの大学を選び、
そこからプリンストンの大学院に入ってくるという。
むろん、自己研鑽を積んでいるから、
有名校でなくても能力は高い水準にある。
かくして、プリンストンの大学院は
「血族交配」の弊害を回避し、
活力を保つ仕掛けになっているそうだ。
日本のように同じ基準で選び抜かれた
「同質性」にこだわわると、
「血族交配」の弊害が必ず出てくる。
それは結婚のみに生かされるものではない。
組織においても同じである。
◇ 昭和のOSのまま、「血族交配」を繰り返し、
アップデートを怠った組織は、
その結果として、「時代錯誤のおじさん」を
多数産み落とした。(トンビももちろんそのひとり)
そしていま、
そのおじさんたちが被害者になっているのだ。
それは、
新たなOS(平成)に変化したのに、
おじさんたちのアプリケーションが
そのままだからだ。
そうなんだ? そうなんだ!
昭和に浸った時間が長くなればなるほど、
このアプリのバージョンアップは極めて難しい。
そしてアプリが旧式だと、
どうなるかというと、
パワハラ、セクハラ、ブラック
という意識が欠如してしまい、
必然的にアプリのセキュリティが脆弱となり、
おじさんたちは悲しいかなウイルスに感染し、
それをまわりに撒き散らすことになるのである。
これがいま官僚機構を含めて
日本で起こっている現象ではなかろうか!
◇ では、どうしたらいいのか。
おじさんたちに救いの道はあるのか。
前述のとおり、「時代錯誤のおじさん」の
セルフでのバージョンアップは極めて難しい。
そこで 「組織の力」が必要になる。
「組織の力」を借りて、アプリを強制的に
バージョンアップしてもらうのである。
したがって、おじさんたちにとって
もっとも大事なことは、
「常にアップデートできる組織に属すること」
これしか道はない。
そうすれば、「死滅」を免れ、
日本は進化できるかもしれない。
これがトンビが考える生き残るための
唯一の道である。
*ただし、あの大学や省庁が組織ぐるみの
場合は打つ手はない。
完
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