◇ 北朝鮮は5月16日に開催予定だった
南北閣僚級会談を土壇場でキャンセルした。
米トランプ政権はこれまで、
無条件で即時の核放棄である「リビア方式」での
北朝鮮非核化を実現させようとしてきた。
しかし、急きょ路線を変更し、
トランプ大統領は、米朝首脳会談の中止も
ちらつかせる北朝鮮に対し、
① 金正恩体制を保証すること
② リビア方式を適用しないこと
を明言した。
とはいえ、リビアのカダフィ政権が、
米国の支援する反カダフィ派に潰され、
処刑された歴史がある。
そのことから北朝鮮金正恩政権は、
いくら現体制を保証すると約束されても、
言葉通りに受け取ることはできない。
◇ 一方、米国と中国は、双方に打撃となる
貿易戦争を回避する意思を示唆した。
トランプ大統領は米政府の制裁で苦境に立った
中国の通信機器メーカー、中興通訊(ZTE)を巡り
救済策を模索する意向を明らかにし、
中国側は劉鶴副首相の訪米を決めた。
◇ このような一連のやり取りを見ていると、
トランプ大統領のやり方は、
まさに「DEAL」だと思う。
出合い頭に大きく吹っ掛けておいて、
相手の反応を見ながら譲歩、
落としどころを探っていくというものだ。
その意味では、中国との貿易戦争は、
落としどころを探る段階に入ったと思われる。
例えば、北朝鮮とのやり取りでも、
核全廃の保証として、核開発に携わった
数千人規模の研究者・技術者の海外移住を
要求している。
一方で全廃された暁には、
政府援助こそ示していないが、
経済制裁の解除、
米企業の投資拡大を約束している。
ここで、数千人規模の
研究者・技術者の海外移住要求は、
吹っ掛けだ。
トンビの見る限りのトランプ政権は、
少なからずの米企業にありがちな、
まずは最大規模の要求を突き付けておいて、
後に現実的な所で決着する。
まさに「DEAL」である。
つまり、極端な形でアメとムチを提示し、
中間点のより自分の有利な位置で
決着をつけようとするように思える。
◇ またたトランプ大統領は、
「北朝鮮を非核化する」ではなく
「半島全てを非核化する」と語った。
このことは、米韓同盟を廃棄し、
在韓米軍の引き上げを示唆する。
これは、在日米軍を強化すれば
実現できることだ。
横須賀は首都がある東京湾の
出口に位置するため、
戦前は日本海軍の拠点だったが、
今は米軍が駐在している。
首都にある横田基地には、
オスプレイが配備された。
南北が統一されるなら、
在韓米軍を日本に移動させても
守備面も考慮すればむしろ強化できる。
◇ しかしながら、トランプ大統領は、
6月12日に予定していた米朝首脳会談を
時期尚早と判断して中止を表明。
この先どうなるのか、いまのところまったく
わからないが、成り行きしだいでは、
朝鮮半島情勢は再び緊迫する恐れがある。
こうした一連のすべてのことが、
トランプと習近平、金正恩の話し合いだけで、
決められようとしているように
トンビには見える。
日本は、このような「DEAL」からも外され、
トランプ社の下請け企業のような
存在に成り下がり、
肝心な話し合いには加われない。
加わる時は、日本の負担分、
つまり金の話のときだけである。
日本政府は、大企業の下請けから脱し、
独自の力で世界中を顧客とした中小企業の
生き方を学ぶ必要がありそうだ。
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