◇ あたり一面どこまでもひろがる
ゴビ砂漠の中に、
まるで雪が積もっているかのように、
真っ白に見える部分がある。
土壌に含まれている塩分が
地表にまで浮かびあがっている。
これを「塩害」と呼ぶ。
日本のように緑豊かな国に育った人から見れば、
それは「不毛の大地」以外の
なにものでもない。
中国は広大な国土を擁するが、
農業にも牧畜にも適さない荒れ地が
今なお、かなりの割合を占めている。
そんな草木一本すら生えない土地のことを、
かつては「天荒」と呼んだ。
そしてその言葉は、
”優れた人材がまったく出現しない土地”
のたとえとしても使われた。
◇ 敦煌を含む今の甘粛省一帯は、
唐の時代まで優秀な人物が
まったく現れないので
「天荒」 の地とされていた。
なぜなら、そこからは中央政府の要職にあたる
高級官僚を採用するための試験「科挙」で、
最終合格者である「進士」はおろか、
その第一段階の試験にすら合格する
ものがいなかったからである。
ところが…
ところがである…
ある年、
その土地出身の 劉蛻(りゅうぜい)
という男が 地方での試験に通り、
さらに中央で行われる本試験にも
優秀な成績で合格した。
ほオ〜〜〜
人々は彼の快挙を、
かの「天荒」の地からも、
ついにそれを破る男が現れたのかと、
喜びと驚きをこめて、
「破天荒」
という言葉で呼んだ。
◇「破天荒」とは、慢性的に低劣
あるいは粗悪だった状態をうちやぶり、
画期的なまでに高尚 あるいは優秀な
状態を出現させるという成語である。
それが今の日本語では、
単に「前代未聞」とか「驚くべき」と
意味に使われている。
語源から考えれば正しい使い方では
ないことになる。
なるほど、新年から大変勉強になった。
今日一日の人生を大切に!